徳之島でクロウサギ輪禍 最多10件  夜間の運転に注意を

2018年07月20日

地域

輪禍に遭ったとみられるアマミノクロウサギの死骸=19日、徳之島町母間の町道(池村茂さん提供)

輪禍に遭ったとみられるアマミノクロウサギの死骸=19日、徳之島町母間の町道(池村茂さん提供)

 徳之島町母間の町道で19日朝、国の特別天然記念物アマミノクロウサギの死骸が見つかった。口や鼻から出血しており、交通事故に遭ったとみられる。同島でクロウサギの交通事故による死亡確認件数は今年に入って10件と2013年以降で最多。環境省徳之島自然保護官事務所は「夜間の運転はクロウサギに注意してゆっくりと走行してほしい」と呼び掛けている。

 

 クロウサギは雄の成獣で体長約30センチ。死骸が見つかったのは、町道尾母旭ヶ丘―轟木線の轟木側から約4・2キロ進んだ地点。同日午前5時10分ごろ、道路の中央付近に横たわっている個体を同町母間の男性が見つけ、県野生動植物保護推進員の池村茂さん(62)に連絡。徳之島自然保護官事務所が死骸を回収した。

 

 事故現場付近では、今年4月にもクロウサギの輪禍が確認されているほか、15年12月に負傷して保護され、その後息を引き取った幼獣の「ボマちゃん」など、クロウサギの交通事故が過去に3件発生している。環境省やNPO法人徳之島虹の会は啓発看板を設置し、ドライバーに注意を呼び掛けていた。

 

 徳之島自然保護官事務所によると、同事務所が開設された13年10月以降、島内のクロウサギの交通死亡事故確認件数は減少していたが、16年に前年の0件から8件に急増し、17年も横ばいの8件と事故の多発傾向が続いている。

 

 同事務所の沢登良馬自然保護官は「クロウサギの確認数の増加や分布域の広がりに伴い、事故も増えているのではないか。島民一人一人が意識すれば事故は減らせる。普及啓発を進めて意識向上に努めたい」と話した。