早産の恐れで亀津から名瀬へ 奄美海保

2020年07月17日

地域

2年ぶりの再会を果たした佐和田さん親子と奄美海保の溜首席通信士(左)=16日、徳之島町亀徳

2年ぶりの再会を果たした佐和田さん親子と奄美海保の溜首席通信士(左)=16日、徳之島町亀徳

    2018年6月21日、破水による早産の可能性があった佐和田ひとみさん(39)=天城町岡前=を緊急搬送した奄美海上保安部の巡視船「あまぎ」(全長89メートル)が16日、港湾調査のため徳之島町の亀徳港に接岸した。同日、搬送先で生まれた長男祥昌君(2)ら親子4人が奄美海保の招待を受け、「あまぎ」を訪問。当時搬送に携わった職員らと歓談し、再会を喜んだ。

 

 奄美海保によると、ひとみさんは当時妊娠32週目。午後4時ごろに破水し早期の処置が必要だったが、島内には未熟児を受け入れられる医療施設がなく、悪天候でドクターヘリなどが飛行できなかったため県は、奄美海保へ急患搬送を要請した。

 

 「あまぎ」は同日午後11時に亀徳港に接岸し、ひとみさんと夫の真也さん(48)、徳之島徳洲会病院の医師、看護師の4人を乗せ10分後に出港。船内の一角にベッドや毛布、保育器などを準備して出産に備えた。22日午前2時半に名瀬港に入港して、奄美市の県立大島病院へ搬送。その後まもなく祥昌君が体重1750㌘で生まれ、約1カ月間、集中治療室で過ごしたという。

 

 ひとみさんは「破水に驚き、早く赤ちゃんを生まないといけない状況で、奄美海保が搬送を引き受けてくれてホッとした」と当時を振り返り、真也さんは「『あまぎ』は妻と子どもを救ってくれた命の恩人」と感謝を述べた。

 

 当時も「あまぎ」に乗船し、通信業務に携わっていた溜範男首席通信士(65)は「救急隊にひとみさんの搬送を引き継ぎ、無事生まれたと聞いたときは安どした。成長した祥昌君の姿を見て感激した」と話した。

 

 歓談後、佐和田さん親子は船内を見学。奄美海保の職員は操舵室でハンドルを握る祥昌君の姿に、「未来の海上保安官に」と期待を寄せていた。

 奄美海保によると、今年度は6件の緊急搬送を行っている。