相撲に配達に日々精進 新聞少年の西加陽斗さん

2018年09月07日

地域

夏休みの早朝、新聞配達で集落を回る西加陽斗さん=8月27日、奄美市名瀬知名瀬

夏休みの早朝、新聞配達で集落を回る西加陽斗さん=8月27日、奄美市名瀬知名瀬

 東の空が白み始め、アカショウビンの声が響く早朝、奄美市の知名瀬集落を訪れた。目当ては同集落に住む西加陽斗さん(15)。8月にあった全国都道府県中学生相撲選手権の個人無差別級を制するなど数々の活躍を見せる一方で、幼少の頃から9年間、雨の日も風の日も新聞配達を続ける新聞少年でもある。

 

 西加さんが配達を始めたのは保育所の年長の頃。祖父母が配達しているのを見て自ら「やってみたい」と言いだした。当初は手伝いでおこづかいをもらう程度だったが、今では集落内の一区域を担当。配達で得た収入は大会遠征に備え貯金しているという。

 

 「小さい頃は寝坊したり、『眠いのにつらいなあ』と思っていたけど今では何とか自力で起きられるようになった」と西加さん。時には自身の活躍が載った紙面を届けることもある。「少し恥ずかしいけど配達先の人に『いつも頑張ってるね』と声を掛けてもらえて励みになる」とはにかんだ。

 

 身長166センチ、体重110キロ。同年代の少年たちの中では立派な体格だが、大型選手が居並ぶ全国大会では小兵の部類だ。それでも取組は正統派の押し相撲。どんな相手でも思い切り当たって懐に入り一気に押し出す。正々堂々の取り口は、目の肥えた奄美の相撲ファンもうならせる。

 

 8月19日にあった全国中学校体育大会の団体決勝では、相手を土俵際まで追い詰めたものの肩すかしでかわされ優勝を逃した。「急ぎ過ぎて前みつのつかみが甘かった」と悔しさをにじませながらも「大学までは相撲を続け学生横綱を目指す。将来は学校の先生になりたい」と夢を語った。

 

 父親の清司さんも新聞少年だった。「私は高校時代で配達は卒業と思っていたが、陽斗のおかげで今でも家族3代で配達を続けている。自ら進んで配達を始め、続けてくれていることが何よりうれしい。これからも夢に向かって頑張ってほしい」と息子へエールを送った。