県の新防災ヘリ、運用開始  奄美大島も活動範囲に

2019年05月12日

地域

運用を開始した県の新型防災ヘリ「さつま」=11日、枕崎市の県防災航空センター

運用を開始した県の新型防災ヘリ「さつま」=11日、枕崎市の県防災航空センター

  災害時の救助活動や状況調査、物資の運搬、救急搬送などの任務に当たる県の消防・防災ヘリコプター「さつま」の新型機が11日、運用を開始した。初代機に比べ速度や無給油飛行距離が向上し、活動範囲の南限が初代機の十島村から奄美大島全域(加計呂麻島、請島、与路島含む)まで拡大された。災害時だけでなく、奄美ドクターヘリが対応できない場合の搬送など連携も期待される。

 

 2008年6月に導入した初代「さつま」の更新に伴い、18年12月に約27億円で購入した。2代目「さつま」はイタリアのレオナルド社製AW135型機で、機長を含め、初代機より1人多い14人の搭乗が可能。人工衛星を介して映像を地上に送信する「ヘリサットシステム」を搭載し、救急患者も2人まで同時に搬送できる。

 

 巡航速度は時速210キロから280キロにアップし、無給油での飛行距離も720キロから1250キロに拡大した。県防災航空隊(隊員7人)が運用し、出動の際には隊員4人と機長、整備士の計6人が乗り込む。

 

 県消防保安課によると、初代機の運用開始以降の出動回数は約4200回。このうち離島での任務は約400回。奄美大島でも台風被害調査や救急搬送など数回あったが、緊急時の途中給油によるタイムロスなどが課題で、基本的な活動範囲の南限は十島村までとされていた。新型機は奄美大島に飛来し、無給油のまま活動して鹿児島に折り返すことができ、より迅速な対応が可能となる。

 

 11日はヘリの活動拠点となる枕崎市の県防災航空センター格納庫で式典があり、県などから約60人が出席。三反園訓知事は「台風や火山災害などの多い県内で、性能が向上した新型機の運用開始は心強い」などとあいさつ。デモフライトもあった。

 

 防災航空隊の中川龍太郎隊長は「奄美ドクターヘリが他の業務などで急患搬送に対応できない場合にも、奄美大島から鹿児島市への搬送が可能になる。災害時を含め、島民の安全安心にも貢献できるのではないか」と話した。