知事、世界遺産登録に意欲 伊仙町でふれあい対話

2020年10月26日

地域

世界自然遺産登録に向けた自然保護体制などについて意見を聞いた知事とのふれあい対話=25日、伊仙町伊仙

世界自然遺産登録に向けた自然保護体制などについて意見を聞いた知事とのふれあい対話=25日、伊仙町伊仙

 塩田康一知事と住民が意見を交わす「知事とのふれあい対話」が25日、伊仙町ほーらい館であった。町内の代表者15人が出席し、農業振興や自然保護、離島のハンディとなっている航空運賃や物流コストなど、多岐にわたる県政への要望を訴えた。世界自然遺産を担当する県職員が島内に配置されていないことを指摘された塩田知事は「徳之島における自然保護については、県も当事者意識を持って取り組んでいる。(審査が行われる)来年6月に向け、環境省と県、地元が連携して、しっかりとした体制を整えていく」と述べ、世界自然遺産登録へ強い意欲を示した。

 

 世界自然遺産登録に関しては、NPO法人徳之島虹の会事務局長の美延睦美さん(57)が県の担当職員配置と世界遺産推進室設置を求め「来年6月の登録審査を目前にしてもなお、遺産候補地の残る3島と比べて組織化が進んでいない。県は徳之島3町をまとめる立場として果たす役割は大きく、積極的に関わってほしい」と訴えた。

 

 塩田知事は「徳之島に担当者はいないが、本庁ではきちんとした体制がある。課題があれば徳之島事務所に伝えていただいた上で、しっかりと解決に取り組みたい」と話した。

 

 農業関連では本土からの畜産飼料の運搬費助成やサトウキビ農家への支援、労働力不足対策、農産物のブランド化などを要望。労働力対策について塩田知事は「徳之島と農繁期が異なる地域と連携し、地域間で労働力を相互移動できないか解決策を探っていきたい」と力を込めた。

 

 また、農業所得を上げる方策として「高収益作物を作っていくのも一つの方向性。付加価値が高く、競争力のある作物に取り組むことも重要だ」と述べた。

 

 そのほか、台風接近時に滞る物流対策、空路鹿児島│徳之島路線の発着時間見直し、大学など上級学校の設置、闘牛の県重要無形文化財への指定などを求める意見があった。

 

 塩田知事はふれあい対話の前後に、徳之島ダムなど5カ所を視察した。