遺骨保管箱のふた、奄美へ 京都大収蔵遺骨返還運動に活用

2018年12月21日

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大津代表が沖縄から持ち帰った遺骨保管箱のふたとみられる板=19日、奄美市名瀬

大津代表が沖縄から持ち帰った遺骨保管箱のふたとみられる板=19日、奄美市名瀬

  旧帝国大学の研究者が喜界島から持ち出した遺骨の保管箱のふたとみられる板が京都大学のごみ集積所で見つかった問題で、奄美の住民団体「京都大収蔵の遺骨返還を求める奄美三島連絡協議会」はこのほど、板を保管していた沖縄県の団体から板の引き渡しを受けた。同協議会の大津幸夫代表が沖縄に出向き、関係者から直接受け取った。当面は奄美市名瀬にある大津代表の私設図書館で保管する。

 

 遺骨保管箱のふたとみられる板は2014年11月に同大学の学生が見つけ、北海道や沖縄から持ち出された遺骨の返還を求める沖縄県の団体が保管してきた。

 

 大津代表は今月13日に沖縄県浦添市で、同団体の事務局で日本キリスト教会西原教会の川越弘牧師から板を受け取った。サイズは縦50センチ、横28センチ。表面に「大隅國大島郡喜界村赤連ダンムチノ下」と記され、4体分の遺体標本番号も表記されている。

 

 奄美三島連絡協議会はこれまでに、京都大のごみ集積所への板の放置経緯などを同大学に質問。大学側は「遺骨は保管箱を交換した上で、適切に保管している」とする一方で、板の放置については「確認できなかった」との回答にとどめている。

 

 板を沖縄から持ち帰った大津代表は19日、奄美市名瀬で「奄美からの遺骨持ち出しを裏付ける証拠品でもあり、遺骨返還を求めるために活用したい。京都大での遺骨保管状況についても、目視確認を大学側に求めていく」と述べた。

 

 これまで板を保管していた川越牧師は「板は、本土と沖縄の間で揺れた奄美の人々の歴史を問う資料とも言える。返還運動に役立ててほしい」と話した。