集落挙げて初節句祝う 宇検村田検

2019年05月06日

地域

「よろこびの言葉」に満面の笑みをみせる久倉紗音ちゃん(中央)と母親の千登勢さん(右)=5日、宇検村田検

「よろこびの言葉」に満面の笑みをみせる久倉紗音ちゃん(中央)と母親の千登勢さん(右)=5日、宇検村田検

 こどもの日の5日、初節句を迎える新生児を集落を挙げて祝う「端午一心会」が宇検村田検集落で開かれた。会場となった田検中学校体育館には集落の0~90歳約150人が集まり、2018年度に生まれた新生児8人に、同集落に伝わる「よろこびの言葉」と祝い金を贈った。

 

 端午一心会は1965年、一級建築士として戦後の奄美の復興を支えた田検集落の故・渡武彦氏が「集落の新生児を皆で一緒に平等に祝ってあげたい」との思いで始めた初節句の祝い。

 

 当時、渡氏が新生児に贈った「すくすくと育て玉黄金(たまこがね)/成長(ふで)て為になれ島ぬ宝(生まれてきた子どもは島の宝、健やかに育ち島のため、世のために尽くしてほしい)」という「よろこびの言葉」は55年を経た今も同集落で受け継がれ、これまで642人の新生児に贈られている。

 

 今年の新生児の一人、久倉紗音(すずね)ちゃん(4カ月)の母・千登勢(ちとせ)さん(42)も同集落出身で、お祝いを受けた。「親子2代で祝ってもらいありがたい。これからもわが子の成長を集落の皆さんに見守ってほしい」と話した。

 

 会には第一号の新生児だった森文人さん(54)も参加。「当時のことは記憶にないが、この行事を通して集落皆で子育てをしている気持ちになる。感慨深い」と振り返った。

 

 安田晃典区長は「昭和、平成、令和と時代を超えて継承されてきた文化を大切にしていきたい」と話した。

 

 会では児童や生徒を中心としたかけっこや障害物競走のほか、集落総出で参加するミニ運動会が開かれ、八月踊りで締めくくった。