VRで認知症を疑似体験/鹿児島市

2018年04月15日

地域

VR体験装置を使って疑似体験する参加者=3月31日、鹿児島市

VR体験装置を使って疑似体験する参加者=3月31日、鹿児島市

 認知症への理解を深める研修会(同実行委員会主催)がこのほど、鹿児島市であった。医療・福祉関係者ら約60人がバーチャルリアリティー(VR、仮想現実)の映像を通し、認知症患者が見ている世界を疑似体験した。

 

 参加者がゴーグル型のVR体験装置を着けると、ビルの屋上に立たされた映像が映し出され、「怖い」「下に落ちそうだ」という声が上がった。

 

 実際はデイサービスの送迎車から降りる場面。車を降りるよう職員に促されるが、怖くて足がすくむというシーンだ。空間の距離がうまく認識できない症状を再現した。

 

 映像は認知症の人の体験を基に作った。認知症への理解が足りずに本人を混乱させ、症状を悪化させる一因になることを訴えている。暴言や徘徊、帰宅願望。認知症の症状が物忘れだけじゃないことを実感できるという。

 

 映像を開発したシルバーウッド(千葉県浦安市)の下河原忠道代表は「認知症の人が怖い思いをした感情にもっと目を向けるべき。当事者の気持ちが分かれば寄り添い方も変わってくる」と指摘する。

 

 研修会を企画した県議の持冨八郎さんは働き盛りの年齢で発症する若年性認知症患者の支援を課題に挙げ、「就労の手助けなどサポートを必要としている人は多い。患者や家族が普通の生活を地域で送れるような取り組みが大切だ」と話した。