職人育成、補助金で支援  紬後継者不足、深刻度増す

後継者不足が深刻となっている締め職人

後継者不足が深刻となっている締め職人

 本場奄美大島紬産地再生協議会(会長・前田豊成本場奄美大島紬協同組合理事長)は27日から、奄美大島伝統工芸産業支援補助金の申請者を募集している。伝統工芸産業の後継者育成に取り組む事業者や産地組合に対し▽後継者の給与(1人当たり月額7万円以内)▽指導者の報酬(同10万円以内)―を2年間補助する。背景にあるのは紬業界で深刻化している締めや図案、染色加工などの職人不足だ。

 

 紬協組によると、18年生産反数は3862反。平成の30年間で40分の1近くに激減するなど右肩下がりが顕著で、比例するように業界全体の従事者数も減少。昭和60年代に5400人いた職人は706人(2018年3月末現在)まで減った。

 

 織り職人が533人いるのに対し、人材不足が深刻なのは図案(15人)、締め(40人)、染色(30人)などの職人だ。紬協組の担当者は「数字上は多く見えるが、兼業者や織元雇用の従業員を除くと、専門職として成り立っているのはいずれも1桁台」と内情を語る。全体の平均年齢も69・7歳と高年齢化が進み「年金生活者が年金をもらいながら続けているのが現状」という。

 

 補助制度の対象業種は国指定伝統工芸品の「本場大島紬」のほか県指定伝統工芸品のサンシン(三線)、奄美の芭蕉布、チヂン(太鼓)など。協議会が特に認める工芸品も含む。

 

 申請者は奄美市か龍郷町の事業者や産地組合とする。育成する後継者は2市町に住む60歳未満の人で、未経験者か就業後2年未満であることが条件(家族などは対象外)。指導者も2市町で事業を営む事業者か、産地組合推薦の伝統工芸産業技術伝承者。

 

 補助期間は2年間だが、申請者側には延べ5年間の継続雇用を条件に設ける。

 

 事業主体の再生協議会は紬協組と本場奄美大島紬販売協同組合の2産地組合と、奄美市、龍郷町で組織する。18年度を初年度とする本場奄美大島紬産地再生計画を策定し、産官連携した取り組みを進めている。

 

 今回の産業支援事業もその一環。本年度は2市町と県の事業予算712万円で▽後継者育成▽SNSなどによる情報発信▽島外移住者と事業者のマッチング―を計画した。

 

 奄美市紬観光課は「産地再生は業界が取り組むことが前提」と前置きした上で、「生産反数が4千反を切る中で後継者育成は喫緊の課題。雇用が安定しない要因には低賃金もある。紬を後世へつないでいくためにも自治体として実施支援していきたい」と話した。

 制度に関する問い合わせは電話0997(52)1148奄美市紬観光課紬特産係へ。