「『論語と算盤』を読む」出版 チャンスに変える知恵解説 原口泉教授

2021年02月14日

社会・経済 

渋沢栄一「論語と算盤」を読む 久岡 鹿児島県立図書館長で志學館大学の原口泉教授は2月、「渋沢栄一『論語と算盤(そろばん)』を読む」(幻冬舎)=写真=を出版した。「論語と算盤」は〝日本資本主義の父〟と呼ばれた渋沢栄一(1840~1931年)の講話録。本書は、渋沢の「ピンチをチャンスに変える」知恵に満ちた教訓を現代人にも分かりやすいよう解説し、批判的見直しも試みた。

 

 渋沢は「論語と算盤」の冒頭で「算盤は論語によってできていて、論語はまた算盤によって本当の富みが生きる」と指摘。仁義・道徳の象徴である「論語」と利益追及の道具「算盤」の相いれないように見えるものが、実は非常に近いものだと力説している。

 

 本書は原著の「処世と信条」から「成敗と運命」に至る全10章を踏襲。特に、著者が現代人にとって必要と考えた53項目を選んだ。「争いを避け、優しいだけの上司は、ひ弱な部下しか育てられない」「女性教育を怠ると、国家の損失を招く」など、今に通じる言葉が並ぶ。

 

 原口教授は「幕末から明治・大正の激動期における渋沢氏の考え方や行動規範は、時代を超えて通用するはずだ」と述べる。コロナの時代にこそ読みたい一冊。

 

 本書は定価1500円(税別)。https://www.gentosha.co.jp/book/b13550.html幻冬舎。