バイオマス活用の可能性探る 奄美市で勉強会

2019年11月16日

社会・経済 

 バイオマス活用の可能性を考えた勉強会=15日、奄美市名瀬

バイオマス活用の可能性を考えた勉強会=15日、奄美市名瀬

 奄美市のバイオマス活用勉強会が15日、市役所会議室であった。帯広畜産大学発のベンチャー企業、バイオマスリサーチ㈱(本社・北海道帯広市)の菊池貞雄代表取締役と竹内良曜常務取締役が、北海道の導入事例や奄美の可能性を語った。奄美黒糖焼酎の蒸留廃液に着目した同大の研究結果から「非常に有効な原料」と期待を寄せた。

 

 環境省の地域循環共生圏プラットフォーム構築事業を活用した官民勉強会の第1弾。「地域循環共生圏」は2018年4月閣議決定の第5次環境基本計画で提唱された新たな概念。地域資源を生かし、脱炭素や「持続可能な開発目標(SDGs)」を実現させた地域社会像をいう。

 

 同事業では全国35団体・自治体、うち鹿児島県は奄美市と徳之島地区自然保護協議会の2団体が選定された。

 

 奄美市は下水道汚泥や焼酎廃液などのバイオマスを活用した循環共生システム構築を図り、民間の新ビジネス創出も狙う。10月末には奄美大島5市町村の企画担当課でつくる連絡会を立ち上げた。

 

 勉強会は製造業や廃棄物処理業者、農業関係者ら約30人が参加した。講師の菊池代表取締役ら2人は、家畜ふん尿を使った北海道鹿追町のバイオガスプラントなどの事例を紹介した。

 

 黒糖焼酎については大学の研究から▽減圧蒸留過程で発生した廃液は常圧蒸留よりバイオガス生成量が多い▽家畜ふん尿の発酵期間は40日程度だが焼酎は7~10日間―との結果を示し、「焼酎は発酵が進んでいることもありガスを取り出しやすい」と指摘した。

 

 さらに乳牛ふん尿と同等~1・5倍のバイオガス量だったことや、生ごみ汚泥との相性も良かったことなどを報告。「冬でも温暖な気候は本土より有利」と奄美地域の優位性を強調した。