作家の岩下尚史さんトーク ―本場奄美大島紬展

2019年03月22日

社会・経済 

大島紬のコーディネートも披露した岩下尚史さん(右)=21日、時事通信ホール

大島紬のコーディネートも披露した岩下尚史さん(右)=21日、時事通信ホール

 「2019本場奄美大島紬展」の初日トークショーに作家の岩下尚史さんが出演した。岩下さんは前田豊成本場奄美大島紬協同組合理事長と対談し「消費者が求めるものを生み出し続けてほしい。着物のビギナーにももっと着心地や色みなどの良さを伝えて」などと語った。

 

 岩下さんは熊本県出身。就職を機に東京の花柳界の研究に長年携わり、書籍の執筆や長唄の作詞の傍ら和服雑誌「美しいキモノ」でコラムを連載している。近年はコメンテーター、俳優としても活躍する。

 

 トークショーで岩下さんは、1980年代の東京の歌舞伎役者たちの普段着として大島紬が好まれていたエピソードを披露。「役者さんは普段着こそ凝った着物を仕立てるのが通だったが、一般の主婦のお出掛け着としても人気だった」と回想し、着る人の層が広いことが大島紬の特徴だと述べた。

 

 生産量が減少し続けていることに対し、「織元には単なる伝統文化ではなく、商品として展開を考えてほしい。今後は売る側が着物を着る場所を考えていく必要もあるのでは」と提唱した。

 

 ショーの中では岩下さんと前田理事長による着物のコーディネート紹介もあった。開催場所は呉服店が立ち並ぶ着物愛好家が多い土地ということもあり、100人以上の参加者のほとんどが大島紬姿。会場は華やかな雰囲気に包まれていた。