加計呂麻島ジビエ研が東京・日本橋でシシ肉試食会

2019年12月30日

社会・経済 

リュウキュウイノシシの加工食品を賞味する参加者=東京日本橋の離島キッチン

リュウキュウイノシシの加工食品を賞味する参加者=東京日本橋の離島キッチン

 加計呂麻島ジビエ研究会(佐藤幸雄代表)はこのほど、東京・日本橋の離島キッチンで、害獣として捕獲したリュウキュウイノシシの試食会を開催した。抽選で選ばれた約50人にハムやソーセージなどが振る舞われ、「くせのない深い味わい」などと好評だった。同研究会は加計呂麻島在住の猟師や関係者で組織され、害獣イノシシを島おこしにつなげる活動を展開している。

 

 試食会には、狩猟によって食材として捕獲される野生鳥獣を使ったジビエ料理の愛好家や、猟師などが参加。希少なリュウキュウイノシシの肉料理をはじめ、ロースハムや薫製食品のパストラミなどの加工品も注目を集めた。加計呂麻島で作った塩麹ハチミツを使ったベーコンが提供されると、上品な味わいに歓声が上がった。

 

 事務局の水谷淳一さんは「加計呂麻島は椎の木(イタジイ)が群生してるため、ドングリが豊富な環境でリュウキュウイノシシが育っていることが脂のうまさにつながっている。海に囲まれた離島ゆえ、豚との自然交配が起こらず、種の保存が保たれている」と解説。

 

 ネーチャーガイドとしても経験豊富な狩猟歴5年の佐藤幸雄さんは、島での狩猟の様子や食肉処理の過程をスライドを用いて紹介し「島でイノシシは害獣駆除の対象。捕獲後は山に廃棄されることも多かった。イノシシたちの命を無駄にしてはいけないとの思いから、構想から3年で獣肉処理施設を手作りして許可を取得。食肉としての販売にこぎつけることができた。島の課題解決の一助になることを目指したい」と参加者に訴えると、会場からは拍手が上がった。

 

 埼玉県から参加した猟師(20代)は「猟とその背景や地域事情まで知ることができた貴重な機会だった」と語り、都内から参加した女性(40代)は「ジビエを数多く食べてきたが、リュウキュウイノシシは初めて。加計呂麻ブランドとして立派に流通する可能性を感じた。島の調味料を使っていることも高評価」と笑顔を見せた。

 

 同会は今月、近畿大学東大阪キャンパスでも同様の試食会と説明会を行った。