半世紀ぶりに「マルシカ」復活 10日から島内先行販売 松永酒造場

2020年12月06日

社会・経済 

 【徳之島総局】奄美黒糖焼酎を製造する伊仙町阿三の松永酒造場(松永晶子代表取締役)は今年、自社の銘柄「マルシカ」を約50年ぶりに復活させた。うま味と香りのバランスが特徴で、マルシカをブレンドしたリキュール(グアバ茶、シークニン)と合わせた計3商品を10日から、島内で先行販売する。

 

 同社は1952年の創業当時から、酒蔵が所在する鹿浦地区にちなんだ黒糖焼酎「まる鹿」を製造していた。65年に島内六の酒蔵が共同出資して共同瓶詰め会社(奄美酒類㈱)を設立し、各蔵の黒糖焼酎をブレンドした統一銘柄「奄美」ができたことを機に、まる鹿の販売は中止された。

 

 松永酒造場の杜氏(とうじ)も務める松永代表取締役(51)は以前から、地元農家とタイアップしたリキュール製造の構想を描いていた。今回新型コロナウイルスの影響で時間的な余裕が生まれたことから、銘柄復活と合わせて製造に踏み出した。

 

 「マルシカ」は原料の黒糖と米麹の風味を生かす常圧蒸留で製造。黒糖のうま味成分を残すために原酒のろ過を抑え、50年前の銘柄「まる鹿」と同様、若干にごりのある黒糖焼酎として復活させた。

約50年ぶりに復活した松永酒造場の銘柄「マルシカ」(下段左)と松下代表取締役=5日、伊仙町阿三

約50年ぶりに復活した松永酒造場の銘柄「マルシカ」(下段左)と松下代表取締役=5日、伊仙町阿三

 

 銘柄「マルシカ」のアルコール度は25度。グアバ茶リキュールは12度、シークニンリキュールは10度で、女性にも飲みやすく仕上げた。

 

 松永代表取締役は「徳之島の農産物を使ったリキュールの製造は初めて。黒糖焼酎の枠にとらわれず、女性目線でさまざまなことにチャレンジしていきたい」と話した。

 3商品はいずれも720㍉㍑で価格は1550円(税抜き)。島内の小売店で購入できる。島外では来年3月ごろの販売を目指している。

 

 問い合わせは電話0997(86)2070㈲松永酒造場へ。