奄美、来島者増に期待と不安 県またぐ移動、あす解禁

2020年06月18日

社会・経済 

カヌー用具を消毒するマングローブパークのスタッフ=17日、奄美市住用町

カヌー用具を消毒するマングローブパークのスタッフ=17日、奄美市住用町

    新型コロナウイルス感染症対策で求められていた都道府県をまたぐ移動制限が19日解禁され、格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーションは奄美―成田(東京)、奄美―関空の運航(各1日1往復)を再開する。奄美大島では受け入れの動きが本格化しているが、長期にわたって移動自粛の影響を受けてきた観光関係者の胸中は、来島者増加への期待と不安が入り混じっている。

 

 17日の奄美市住用町の黒潮の森マングローブパーク(寿義浩支配人)。旅行客に人気のカヌー体験案内所ではスタッフがカヌーの掃除やパドルの消毒などに当たっていた。

 

 奄美大島で感染者が確認された翌日の4月18日以降、約1カ月間の臨時休館の後、5月中旬から営業を再開しているが、島外からの来場者はほとんどいない。

 

 「19日以降の来場も今のところ見通せておらず、書き入れ時の7、8月も平年ほど人が来るとは想定していない」と寿支配人。

 

 施設内の消毒などに加え、来場者に検温の協力を求め、37・5度を超えている場合は入場を断るなど感染症対策に取り組んでいる。寿支配人は「今後もできる対策はしっかりやるが、来島者側も自分の健康を守ることが、島を守ることにつながるので、マスク着用などのせきエチケットや検温への協力に対し、理解していただけたら」と話した。

 

 県外からの来島者受け入れ本格化に「正直、(感染リスクへの)怖さもある」と語るのはホテルやレストランを併設する同市笠利町のリゾート・ばしゃ山村の奥圭太取締役(45)。「だが自分たちも生活していく以上、どこかで線引きをして進まないといけない」と話す。同施設も5月末まで約1カ月半休業を余儀なくされたが、「これまでの我慢を無駄にしないためにもこの6月は特に大事。それぞれの事業所が感染症対策への意識をしっかり持って対応しなければならないと思う」と力を込めた。

 

 同市名瀬のダイビングショップ「マリンスポーツ奄美」も県外客の受け入れを再開する。代表の才秀樹さん(46)は「休業中も固定費はかかっていたので、ほっとした気持ち半分、怖さ半分。船内や機材の消毒徹底など、できる対策をしっかりした上でお客を迎えたい」と語った。

 

 奄美大島5市町村の首長らは15日に共同メッセージを発表。19日以降、全ての都道府県から感染防止対策を徹底した上での来島者の受け入れを表明した。