日本アボカドサミット開催 全国から農家ら370人 鹿児島市

2019年10月19日

社会・経済 

農家や愛好家らが栽培や活用法について情報共有した日本アボカドサミット=17日、鹿児島市

農家や愛好家らが栽培や活用法について情報共有した日本アボカドサミット=17日、鹿児島市

 国内消費が伸び続けている熱帯果樹・アボカドについて考える「第2回日本アボカドサミット」(日本熱帯果樹協会主催)が17日、鹿児島市の県民交流センターであった。全国の果樹農家や愛好家、自治体の農政担当者ら約370人が参加。各地の栽培状況や研究成果、果実の活用法などの最新情報を共有した。生産地として温暖な奄美地域の優位性が示された一方、台風の防風対策などの課題も浮き彫りとなった。

 

 アボカドは「森のバター」と呼ばれる熱帯アメリカ原産の果樹。生食のほかアイスクリームなどの加工品にも用いられる。輸入量は年々増加し、昨年は7万4千トン。今年は8月末現在で5万3千トンに達し、市場拡大を見込んで愛媛県や和歌山県などで参入が相次いでいる。

 

さまざまな品種のアボカド苗や栽培指導書、栽培資材の販売もあったサミット会場=17日、鹿児島市

さまざまな品種のアボカド苗や栽培指導書、栽培資材の販売もあったサミット会場=17日、鹿児島市

 奄美群島では瀬戸内町が新規推進品目に指定しており、2019年度事業で加計呂麻島に風よけのための鉄骨平張り施設(約5アール)を設置して有力品種の選定を行うとしている。

 

 サミットは2部構成で、前半では鹿児島県南大隅町と長崎県、愛媛県、和歌山県、静岡県の農家ら5人が栽培状況を報告。▽強風が当たらない▽冷気が停滞しない▽排水性のよい弱酸性土―などの栽培条件が示され、特に防寒、防風対策の重要性が指摘された。

 

 海外産との差別化が見込める品種の選定、完熟果の出荷など国産ならではの強みを生かしたPRについての提言もあった。

 

 後半は日本農業研究機構の杉浦俊彦氏、鹿児島県農業開発総合センターの木崎賢哉氏、内野浩二氏の3氏が地球温暖化と産地拡大の可能性や、県内と海外での栽培状況についてレポートを報告。利用法の提案もあり、アボカド料理研究家の緑川鮎香さん、鹿児島市内でアボカド料理店を経営する福島崇史さんがそれぞれ発表した。

 

 瀬戸内町の農家でつくるアボカド部会の古俣文喜会長()は、味が特によいとされるハワイ系品種に注目。「耐寒性の面で他地域では生産できない品目を導入すれば高価格のブランド商品化を狙える」と期待した。