機能性植物加工施設が開所 徳之島町

2018年04月22日

社会・経済 

徳之島町機能性植物加工センターの開所を祝う関係者=21日、徳之島町母間

徳之島町機能性植物加工センターの開所を祝う関係者=21日、徳之島町母間

 徳之島町が母間地区に整備を進めていた「徳之島町機能性植物加工センター」の開所式が

21日、同施設であった。産官学の共同研究で多様な機能性が認められたシマアザミを1次加工して大手原料メーカーへ出荷し、収益性の高い農産物への転換や農業振興を目指す。施設は、シマアザミを使った健康食品「向春草(こうしゅんそう)」の開発と販売を手掛ける㈱ヘルシーアイランズ(徳之島町亀津)が管理運営する。

 

 シマアザミは奄美大島以南に分布するキク科の植物。琉球大学やNPO法人奄美機能性開発研究会(上山泰男代表)が成分を分析し、抗酸化作用の強いポリフェノールが豊富に含まれ、肝臓への脂肪蓄積を抑える効果が高いことが分かっている。

 

 町内に原料を乾燥させる1次加工施設がなかったことから、国の地方創生拠点整備交付金を活用し、約5600万円かけてセンターを整備した。延べ床面積は214・5平方メートル。洗浄室や乾燥室、製品保管検査室などを完備する。

 

 同社は町と20年間(5年ごとに更新)の施設貸与契約を結んだ。1日の最大原料処理量は900キロ。1次加工した乾燥チップの年間生産量は、島外の事業者に頼っていた従来の約20倍となる20トンを見込んでいる。

 

 式典には同社や取引業者、町関係者など約80人が出席した。高岡秀規町長は「シマアザミの加工施設ができ、機能性食品展開の第一歩が踏み出せた」とあいさつ。同社の藤山尚二郎社長は「シマアザミは機能性植物として高い成分が研究でも出ており、販売先からの評価も高い。世界に向けて発信ができる素材として、奄美全体で取り組んでいけたら」と述べ、群島全体で栽培や1次加工に取り組む考えも示した。

 

 同社はシマアザミ生産者組合(福岡輝男組合長、40戸)と1キロ当たり130~150円で全量買い取る栽培契約を締結。栽培面積は7㌶で、年2~3回収穫を行い、年間約200トンの収量を見込んでいる。

 

 センターはパートを含む従業員16人。年間約250日間の稼働を計画している。