沖永良部島台風でサトウキビ減収率12%

2018年10月04日

社会・経済 

台風被害を受けた、植え付けて間もないキクのほ場=3日、和泊町国頭

台風被害を受けた、植え付けて間もないキクのほ場=3日、和泊町国頭

 台風24号の影響で、農業立島を掲げる沖永良部島ではサトウキビや特産の花卉(き)をはじめとした農作物や、農業施設に損害が生じた。島内の農家らは被害状況を嘆く間もなく、台風25号の接近に備えた対策に追われている。

 

 和泊町経済課と知名町農林課のまとめによると、サトウキビ被害は和泊で683・8ヘクタール、8713万円、知名で886ヘクタール、約1億2576万円。いずれも12%の減収を見込む。

 

 島内の花卉被害は少なくとも和泊が1892万円、知名が518万円。「停電の影響による早咲き、生育不良など、現段階では表面化していない被害も今後予想される」(和泊の担当者)という。さらにビニールハウスや牛舎などの損壊被害も多く発生している。

 

 知名町正名のキビ農家、西田安村さん(60)は「今年は過去に記憶がないぐらいキビの生育が良かった。両町で10万トン台という話もささやかれていただけに、今回の台風は本当に残念。減収率は12%程度だが、糖度への影響が心配」と気をもむ。

 

 和泊町国頭の花卉農家、山下博志さん(36)は今月、定植を終えたばかりのキクのほ場約15アールが被害に遭った。山下さんは「需要が高まる正月前の出荷に向けて植え付けたが、台風で半分ぐらいやられた。早めに植え替えたいが、台風25号が接近しているので、作業はそれが過ぎた後になる」と話した。

 

 同じく国頭でトルコギキョウやキクなどを栽培する田中巌さん(40)は、今夏完成したばかりの13連棟のビニールハウスのうち、海岸に近い2棟でビニールが裂けるなどの被害を受けた。

 

 田中さんは「ハウスの骨組み部分や、中の花(トルコギキョウ)が無事だったのは良かったが、台風対策などに追われてここ1週間はそんなに寝ていない」とやや疲れた表情。3日も早朝から畑に出て次の台風接近に備え、ハウスに被せている防風ネットを締め直す作業などを行った。