温泉付き宿泊施設、22年開業へ グレイ美術、大和村と立地協定

2020年11月01日

社会・経済 

温泉付き観光施設整備に向けて協定を結んだ浜崎社長(左)と伊集院村長=31日、大和村

温泉付き観光施設整備に向けて協定を結んだ浜崎社長(左)と伊集院村長=31日、大和村

  大和村への天然温泉を目玉とした観光施設整備に向けて31日、総合美術会社・グレイ美術(本社・東京都、浜崎哲義社長)と同村が立地協定を結んだ。露天風呂付きヴィラ(1棟1部屋型)宿泊棟や、手ぶらで気軽にぜい沢なキャンプが堪能できる「グランピング」サイト、バーベキューなどを日帰りで楽しめるキャンプサイトなどを段階的に整備する計画。2022年4月に施設の一部機能をオープンさせ、同年12月のグランドオープンを目指す。

 

 グレイ美術は、映画やCMの美術制作、建築物の設計・施工など幅広く手掛ける。浜崎社長(62)は大和村大和浜出身で、観光施設整備は20年来の構想。整備予定地は同社所有地(約21万平方メートル)で、大和浜集落と大棚集落の間にあり、東シナ海に面する。

 

 仮称「奄美温泉大和ハナビーチリゾート」。構想では「段階的に発展するリゾート」がコンセプト。22年4月オープン予定のキャンプサイトは、家族連れが他の客に気兼ねせず楽しめるよう団体の大人向けと、ファミリー向けに区分けする。ファミリーサイトには幼児用の遊具なども設置予定。

 

 同じく4月オープン予定の「亜熱帯野鳥の森植物園」エリアは、敷地内に生える亜熱帯特有の植物などを活用。遊歩道などを整備し、自然の癒やしを感じつつ園内散策が楽しめる。

 

 12月にメインの温泉エリアやグランピングサイトのオープンを予定。温泉エリア(約6500平方メートル)には1棟約53平方メートルの露天風呂付きヴィラ宿泊棟を10棟建設する計画。グランピング用に、キッチンやベッド、トイレなどを備えたキャンピングトレーラーもそろえる。

 

 同社は昨年、敷地内の地質を調査し、温泉の出る可能性が高いことを確認。県から温泉の掘削許可をすでに得ており、来年春先に掘削工事を始める。今後は村の協力を得ながら、施設整備に必要な各種法令手続きなどを進める。来年秋ごろの着工を目指す。

 

 グランドオープンまでの整備に約5億5000万円を投資予定。アルバイトを含め35人程度の新規雇用を見込んでいる。

 

 立地協定式は村体育館であった。浜崎社長は温泉大浴場整備など将来構想にも言及しつつ、「現在および将来の経済、社会、環境へ十分に配慮し、適切なバランスを図りながら持続可能な観光業を進めていく。大和村の(既存の)観光事業とも連携し、地域ぐるみでお客をもてなし、村全体の活性化を目指したい」などと抱負を語った。

 

 伊集院幼村長は「温泉を活用した宿泊施設のプロジェクトのスタートは、この小さな村にとっての大きな期待」と歓迎。村も施設整備を円滑に進めるためのサポートなど協力していく考えを示した。