県の実証栽培を視察 徳之島コーヒー生産者会

2020年11月05日

社会・経済 

県農業開発総合センター徳之島支場が実証栽培したコーヒーノキを視察する生産農家=4日、伊仙町面縄

県農業開発総合センター徳之島支場が実証栽培したコーヒーノキを視察する生産農家=4日、伊仙町面縄

 徳之島コーヒー生産者会(吉玉誠一会長)は4日、伊仙町面縄の県農業開発総合センター徳之島支場でコーヒー栽培の研修会を開いた。会員ら約30人が参加し、同支場が平張りハウスで実証栽培しているコーヒーノキの生育状況を視察。防風対策や遮光率による生育への影響などについて理解を深めた。

 

 同支場はコーヒー生産者会や味の素AGFなど、2017年6月に徳之島コーヒー生産支援プロジェクト事業を締結した4者から依頼を受け、19年度から安定生産に向けたコーヒーノキの実証栽培を開始。平張りハウスを活用して防風対策や強日射対策、徳之島に合った品種選定の試験を行っている。今回の研修会はこれまでの試験結果を生産者にフィードバックし、栽培に生かすことが目的。

 

 同支場園芸土壌研究室の中島純室長が、検証の途中結果を解説した。9月5~6日に接近した台風10号の最大瞬間風速は、ハウス外で22・5㍍だったのに対し、ハウス内は8・5㍍に抑えられ、一定の防風効果があったと説明した。

 

 強日射対策は昨年4月に定植したモカ種の苗に今年10月まで遮光資材をかけ、遮光率の違いで生育の違いを調査した。遮光率は40~95%の5段階に分け、樹高と着果率の違いを検証。樹高は80%遮光区が118・3㌢と最も高く、1株当たりの着果数は50%遮光区が92・3個と最も多かった。

 

 今年3月に定植したトパージオ、オバタリ種、ロングベリー、ラスナの4品種の10月現在の樹高は、ラスナが51・5㌢と最も高く、オバタリ種が42㌢で最小だった。強日射対策と品種選定はいずれも収穫前の途中経過であることから、中島室長は「今後も継続して調査を進めていく」と述べた。

 

 吉玉会長(75)は「生産者は生育に関する細かい分析ができないので、県の施設で実証栽培した結果を示してもらえありがたい。コーヒー栽培に不可欠な防風対策はもちろん、遮光などできる対策は取り入れていきたい」と話した。