高級「伝泊」が登場 奄美市笠利町三鳥屋

2019年07月25日

社会・経済 

奄美市笠利町にオープンした「伝泊ザ・ビーチフロント・ミジョラ」(奄美イノベーション株式会社提供)

奄美市笠利町にオープンした「伝泊ザ・ビーチフロント・ミジョラ」(奄美イノベーション株式会社提供)

 奄美市笠利町屋仁出身の建築家、山下保博氏の手掛ける宿泊施設「伝泊(でんぱく)」シリーズに、初の富裕層向け高級伝泊が同町外金久三鳥屋集落の海岸沿いにお目見えした。新築1棟貸しのビーチフロントヴィラ「伝泊 ザ・ビーチフロント・ミジョラ」。山下氏は「世界自然遺産登録後に訪れる多様な客のニーズに対応したい」と話す。

 

「ミジョラ」の内部から広がるガラス張りの風景=20日、奄美市笠利町

「ミジョラ」の内部から広がるガラス張りの風景=20日、奄美市笠利町

 山下氏は集落の伝統的な古民家を宿泊施設に改修する取り組み「伝泊」を2016年からスタート。群島内に15カ所開業しており、今回の施設は16カ所目。

 

 「ミジョラ」の屋号は集落の方言名。三鳥屋集落に6棟、隣りの亀先集落に7棟の計13棟あり、8棟が既に完成し、オープンしている。鉄筋コンクリート製で一部木造。全室海に面して設計されているのが特徴。

 

 こだわったのは入室してすぐ視界に飛び込んでくる一面ガラス張りの大きな窓。幅4㍍、高さ2㍍のガラス窓は、ベッドから眺めると、まるで海の風景を1枚の絵画のように見ることができる。天井は高倉をイメージし、山下氏は「高倉の中で眠っているような懐かしい感覚を喚起したかった」と話す。

 

 室内はコンクリート壁で統一したごくシンプルな内装に。山下建築の特徴でもある「禅」をモチーフに、「無から自然と静かに向き合う空間を演出した」という。

 

 富裕層向けへの工夫として、家電は高品質として人気なバルミューダ製を使用。ボディーケア用品にはオーストラリアの人気ブランド「イソップ」を備え、ワインセラーには適温のワインやシャンパンを常備する。

 

 台風や塩害が強い奄美ならではの自然の気候にも配慮。入口の高さは1・9㍍と低めに設計し、台風被害と、集落の環境に配慮した。また海への視界をさえぎるアダン並木は防風林としての機能を重視し、伐採せずに床を高めに設計することで共存している。

 

 価格は8月の繁忙期で1泊5万8千円(2名、朝食付き、税込み)。山下氏は「世界自然遺産に登録されれば富裕層も奄美に多く訪れる。瀬戸内町、龍郷町に並び、空港近くにも高級宿泊施設が必要と考えた。集落の人々と交わり、奄美の良さを感じてもらえる宿にしたい」と話している。

 

宿泊、予約の問合せは奄美イノベーション株式会社=0997(63)1910。

 

 

 

山下保博(やました・やすひろ)