厚い壁乗り越え世界へ 奄美2世の重一生選手 ラグビーW杯日本大会

タックル練習に取り組む重選手=2018年11月30日、神戸市

タックル練習に取り組む重選手=2018年11月30日、神戸市

  ラグビーの2019年ワールドカップ(W杯)日本大会で日本代表入りを目指す奄美2世がいる。高校、大学と強豪校の選手として活躍し、現在、社会人の名門・神戸製鋼に在籍する重一生選手(24)がその人。18年秋、兵庫県神戸市に訪ねると、「人一倍練習して厚い壁を乗り越え、世界の舞台で羽ばたきたい」と目を輝かせた。

 

 大阪府吹田市に住む秀一さん(50)=奄美市笠利町赤木名出身、加奈美さん(同)=大和村大棚出身、旧姓・中=夫婦の三男で、大阪市生まれ。幼稚園から、小、中学校まで吹田市のラグビースクールに通って大阪市の常翔学園高校に進んだ。

 

 巧みなステップやパスとスピード、パワーでフルバック(FB)やスクラムハーフ(SH)で活躍し、2年時から日本代表入り。3年時の2013年1月、東大阪市の花園ラグビー場であった全国高校ラグビー大会では同校の5回目の優勝に貢献した。

 

 それらの活躍が評価され、13年2月、19年のW杯日本大会に向けた日本ラグビーフットボール協会の若手育成プロジェクト「ジュニア・ジャパン」のメンバー入りも経て同年、帝京大学に進学。1年時で20歳以下の「ワールドラグビーU20トロフィー2013」代表入りし、日本の4位入賞に一役買った。16年の全国大学選手権決勝では後半からFBで出場してトライを決め、帝京大の7連覇に貢献した。

 

 17年に大学を卒業し「こどものころから憧れていた」神戸製鋼に入社した。ジャパンラグビートップリーグの17~18シーズンで開幕から、アウトサイドCTBの先発として定着。全15試合中14試合に出場した。第4節のNEC戦ではキックオフ直後に巧みなステップで華麗なトライを決め、その試合で最も活躍した選手「マン・オブ・ザ・マッチ」に輝いた。

 

 重を訪ねたのは18年11月末、神戸市にある神戸製鋼のホームグラウンド・灘浜グラウンド。人一倍努力する重は全体練習の前後にもチームの誰よりも走り、体を動かしていた。一方、体調管理には特に気を遣い、毎日の自主トレも体の調子に合わせてメニューを決めるという。

 

 170㌢、86㌔ラガーマンとしては小柄だが、体格差を跳ね除けるタックルは鍛えられた体幹も生かしたパワーが生きるようだ。筋骨隆々。ベンチプレスは175㌔を持ち上げるという。

 

 神戸製鋼では普段、経理の仕事を担当している。ルーキーイヤーでは大活躍した重だが、18~19シーズンは11月末時点11試合中4試合の出場にとどまる。プロ選手の加入もあって選手層も厚い強豪チームの中でレギュラー獲得に懸命だ。練習後、「今季は出場機会が少ないが、いつでも途中交代して活躍できるようにダッシュやタックルの練習は特に欠かさない」と額の汗をぬぐい、W杯に向けた日本代表選手争いについても「これからも人一倍練習を積み重ねてパワーとスピードのアップを図り、トップリーグでFBなど他のポジションでも出場を重ね、日本代表を目指したい」と力を込めた。

 

 両親の故郷、奄美大島でも16年から会社や県ラグビー協会などの協力の下、ラグビー教室を開き、小学生から高校生までにラグビーを教えている重は「W杯で多くの国の選手が日本に集結する。W杯に出られたら島の皆さんに勇気を与えられるプレーを届けたい」。

 

 「何事も中途半端はだめ。一度やめると取り戻すのに時間がかかる」という秀一さんの教えもあって幼少期に出会ったラグビーを続けて楕円形のボールに親しみ、練習を積み重ねてきたことで「今の自分がある」と続け、「何事も継続が大事。継続はやがて大きな力になる。結果がすぐにでなくてもあきらめないで」と島の子どもたちにエールも送った。

 ワールドカップ日本代表入りを目指す重選手=2018年11月30日、神戸市

ワールドカップ日本代表入りを目指す重選手=2018年11月30日、神戸市