クロウサギ、元気に野生へ 奄美大島

輪禍後に保護され、野生復帰したクロウサギ(環境省沖縄奄美自然環境事務所提供)

輪禍後に保護され、野生復帰したクロウサギ(環境省沖縄奄美自然環境事務所提供)

  宇検村の県道で輪禍に遭って保護された国の特別天然記念物アマミノクロウサギの雄がこのほど、発見場所近くの森に返された。奄美大島では近年、クロウサギの輪禍事故が増加傾向にあることから、環境省奄美野生生物保護センターは「どんな道路でも生き物が出てくる可能性があることを知っていただき、ゆとりを持った運転を」と協力を求めている。

 

 クロウサギは4月14日夜、宇検村湯湾―部連間の県道で動けなくなっているのを地元住民が発見し、同センターが保護した。

 

 保護時の体重は2・4㌔。大きな外傷や骨折はなかったものの、頭部打撲によるものとみられる神経症状が出ていたため、龍郷町の「奄美いんまや動物病院」で投薬治療した。症状の改善を受け19日に同センターへ移送。2日間の経過観察で野生に戻すことが可能と判断されたため、21日夕に保護場所近くの山中に放した。

 

 同センターによると、交通事故に遭ったクロウサギの野生復帰は、鹿児島市の平川動物公園で5カ月間の治療を経て、2017年4月に奄美大島の森へ戻った個体に続き2例目。

 

 奄美大島ではマングース防除が進み、クロウサギの生息状況に回復傾向がみられ、山中の林道だけでなく市町村道や県道などでも輪禍被害が発生している。クロウサギの交通事故発生件数は17年から20件台が続き、20年には過去最多となる50件に達した。

 

 環境省奄美群島国立公園管理事務所の阿部慎太郎所長は「道路にはクロウサギだけでなく、ケナガネズミなどの動物が出てくる。交通事故防止のためにも、特に夜間の運転は注意してほしい」と呼び掛けた。