IUCN勧告は「保護不完全」 環境守るエコツー確立を 鹿大・萩野教授が講義 放送大学公開講座

世界自然遺産に関して保護の重要性を訴えた萩野教授=13日、奄美市名瀬の県立奄美図書館

世界自然遺産に関して保護の重要性を訴えた萩野教授=13日、奄美市名瀬の県立奄美図書館

  放送大学鹿児島学習センターの第62回公開講座が13日、奄美市名瀬の県立奄美図書館であった。鹿児島大学学術研究院の萩野誠教授が「世界自然遺産登録は奄美に必要か」と題して講義。「登録延期」とした国際自然保護連合(IUCN)の勧告について「(自然の)保護が不完全と評価された」と説明。民間主導の環境保全につながるエコツーリズムの確立を呼び掛けた。

 

 萩野教授は「世界遺産条約は保護に関する条約。観光のための条約ではないと理解してほしい」と前置きし、「人類のための宝だから未来永劫(えいごう)保存されるように、厳しく保護する。ハードルは高い」と述べ、地元側に大きな負担が生じることを強調した。

 

 ダイビングやホエールウオッチングを旧来のエコツーリズムとして挙げ、「魚を取らない、サンゴを壊さないなど(事業者が)自主的に管理する動きが出て、民間主導の自然保護が生まれてくる」と説明。「奄美でエコツーリズムを確立することで、保護という世界遺産条約の一番大事なところが実現できる」と訴えた。

 

 登録延期の勧告を受けて「世界遺産が保留となったことは、エコツアーガイドの意見を聞いて保護を考えるいい機会。奄美の基幹産業となるように、エコツーリズムを進めていくべき」と提案した。

 

 会場との意見交換では「(遺産の)核になる部分が飛び地で民有地が多い。猫問題やクロウサギのロードキルなどたくさんある問題を片付けないと登録は難しいのでは」という指摘や、「自然を守る論議が足りなかった。行政だけでなく市民も考えるべき」との声があった。

 

 講座は放送大学の面接授業の一環。県外の受講生3人と地域住民ら40人が聴講した。奄美市名瀬の女性(39)は「自然遺産は観光ばかり目立っていたので違和感があった。ちゃんと守らないといけないものに目を向けたほうがいいと思った」と話した。