和泊で住家浸水9棟 台風8号影響

2020年08月28日

自然・気象

床上相当の浸水被害を受けた空き家=27日、和泊町

床上相当の浸水被害を受けた空き家=27日、和泊町

    奄美地方は27日、台風8号の影響で局地的に大雨となった。名瀬測候所によると、沖永良部島付近では解析雨量が同日午前5時半までの1時間に約110ミリの猛烈な雨を観測。県と鹿児島地方気象台は同日午前6時10分、和泊、知名両町に警戒レベル4に相当する土砂災害警戒情報を発表し、早めの避難を呼び掛けた。和泊町では住家9棟の床下浸水が発生したほか、土砂崩れや道路の冠水などの被害が相次いだ。人的被害は確認されていない。

 

 名瀬測候所によると、台風8号は27日朝、強い勢力で黄海を北上し、奄美地方では台風に向かって流れ込む暖かく湿った空気の影響で大気の状態が不安定となった。1時間雨量は和泊町で同日午前5時55分までに8月の最大値を更新する76ミリの非常に激しい雨を観測したほか、伊仙町で午前7時9分までに26・5ミリ、奄美市笠利町で午後0時52分までに23ミリの強い雨が降った。台風8号は同日午後3時、中国東北区で温帯低気圧に変わった。

 

 和泊町は大雨洪水警報が発令された午前5時46分に災害対策本部(本部長・伊地知実利町長)を町役場に設置。町内に避難所30カ所を開設し、午前8時半ごろまで1世帯1人が避難した。

 対策本部によると、国頭や和泊など町内各地の住家9棟で床下浸水、倉庫と空き家各1棟で浸水、住家1棟で下水漏水、内城と瀬名の2カ所で土砂崩れ、和泊、和の道路3カ所で冠水などの被害があった。落雷で町の有線テレビ・サンサンテレビの電源機器の故障や送信線の断線なども24件発生し、職員は復旧作業に追われた。

 

 国頭の池田芳隆さん(70)は、9月1日に引っ越す予定だった同字内の持ち家が浸水被害を受けた。空き家となっていたため、住家被害に含まれないが、床上相当となる高さ約1メートル30センチまで浸水した。

 

 池田さんは「5年前にも浸水被害を受けた建物だったので、雨が強くなった27日の午前4~5時ごろに心配して見に来たら浸水していた。買ったばかりのタンスや食器棚が駄目になったが、天災だからしょうがない」と淡々と事態を受け止め、「引っ越しは延期する。片付けをした後、重機で側溝などを作り、水害対策をしたい」と語った。

 

 奄美地方では25日午後9時から27日午後4時までの総降水量が奄美市名瀬で141ミリ、和泊町で129ミリに達した。28日午後6時までに予想される降水量は多い所で1時間に30ミリ、24時間に80ミリ。同測候所は28日朝にかけて土砂災害に注意するよう呼び掛けている。