群島縦断、建物被害が多発 停電、最大で8万世帯超 生活への影響長期化懸念 台風24号

2018年10月01日

自然・気象

強風で倒壊し、がれきになった空き家=30日午前10時半ごろ、天城町天城

強風で倒壊し、がれきになった空き家=30日午前10時半ごろ、天城町天城

  台風24号は29日から30日にかけて非常に強い勢力を保ったまま奄美群島を縦断し、各島を風速25㍍以上の暴風域に巻き込んだ。各島で住家の屋根が飛ばされたり、窓ガラスが割れるなどの建物被害が多発。判明分で10市町村合わせて643件に及び、8人が重軽傷を負った。一部で建物の浸水も発生。停電世帯数は最大で30日午前5時の約8万200世帯に達した。同日午後8時現在、約5万6400世帯が停電。宇検村と伊仙町では全域で停電が続いており、住民生活への影響長期化も懸念される。

 

 南海日日新聞の調べによると、30日午後5時現在、建物被害状況は▽大和村7件▽宇検村2件▽瀬戸内町56件▽喜界町59件▽徳之島町2件▽伊仙町297件▽和泊町95件▽知名町91件▽与論町2件。龍郷町と天城町は10月1日以降の被害件数集約を予定。

 奄美市は家屋被害の調査を終えていないが、各地で屋根の損壊などが発生しているもよう。30日午後3時現在、同じ敷地内の建物を個別に集計すると名瀬、住用町、笠利町合わせて32件の被害が確認されている。

 

 住用町では西仲間地区の4戸で床上浸水、児童館で冠水が発生したほか、町内の市営住宅で屋根損壊、摺勝地区の内海公園でトイレやバンガローなどが一部損壊した。笠利町では用安地区の市営住宅2戸に高潮が押し寄せ、室内に流れ込むなどの被害が出た。

 九州電力鹿児島支社によると、停電は同日午後8時現在、▽奄美市約1万世帯(停電率30・3%)▽大和村約1300世帯(同87・0%)▽宇検村約1700世帯(同100%)▽瀬戸内町約5300世帯(同63・1%)▽龍郷町約4千世帯(同87・7%)▽喜界町約5900世帯(同96・3%)▽徳之島町約7200世帯(同72・2%)▽天城町約4700世帯(同90・7%)▽伊仙町約5500世帯(同100%)▽和泊町約4700世帯(同73・4%)▽知名町約3900世帯(同71・5%)▽与論町約2200世帯(48・5%)。

 

 県災害対策本部のまとめ(30日午後3時現在)によると、29日午後11時50分ごろ、奄美市名瀬朝戸で自動車が横転し、運転していた50代男性が右足の大腿骨を骨折する重傷を負ったほか、同市名瀬と同市住用町、龍郷町で29日夜から30日未明にかけ、女性4人と男性1人がそれぞれ割れたガラスで軽傷を負った。天城町浅間で30日午前、作業中の70代男性が強風にあおられて転倒し、頭部を強打した。与論町でも一人の軽傷が報告されている。