ナイトツアー規制試行 奄美市住用町 野生生物保護で車両制限

ナイトツアーの車両に予約確認を行う関係者=29日、奄美市住用町の市道三太郎線

    夜間に野生生物を観察するナイトツアーで人気が集まる奄美市住用町の市道三太郎線などで29日、車両の通行規制の試行が始まった。奄美・沖縄の世界自然遺産登録に伴う車両の増加を見据えて、夜間の台数を制限しアマミノクロウサギなどの交通事故防止を図る。初日は環境省などの職員が現地で予約の有無を確認し、野生生物に影響を与えないように観察するためのルールの順守を求めた。

 

 市道三太郎線は、奄美市住用町の三太郎峠(約343㍍)の麓にある東仲間、西仲間両集落を結ぶ旧国道。峠一帯は希少な動物が多く、世界遺産区域が含まれる。近年ナイトツアーの人気スポットとして知られるようになり、通行する車両の増加傾向が続いている。

 

 通行規制は、希少動物の交通事故や、追い越しをめぐるトラブルなどを防止するのが目的。官民の関係機関でつくる三太郎線周辺の夜間利用適正化連絡会議が、2回の実証実験を踏まえて規制方法をまとめた。

 

 世界遺産区域に近接する三太郎線を夜間に通行する車両はウェブサイトなどから予約が必要で、1時間4台に制限。三太郎線に接続し、遺産区域を通る市道スタル俣線は通行の自粛を求める。規制に法的な強制力はなく、利用者に協力を求める。

 

 初日はツアー客を乗せたガイドの車両などが現地を訪れ、入り口で予約の確認を済ませた後、時速10㌔以下で走行することなど、看板に書かれたルールを確認してナイトツアーに繰り出していた。

 

 ガイドの案内でツアーを体験した愛知県刈谷市の大学生、正木梨乃夏さん(21)は「アマミノクロウサギをたくさん見られた。夜の森は初めてのことばかりで楽しかった」と笑顔。「自然がそのままの状態で守られるように、ルールを守るのは大切なことだと思う」と話した。

 

 連絡会議事務局の環境省によると、初日は11台の利用があり、予約をしていない車両の通行や、無断のキャンセルなど目立ったトラブルはなかった。

 

 奄美群島国立公園管理事務所の山根篤大国立公園保護管理企画官は「試行による効果や利用状況の変化を踏まえて順応的にルールを改善していきたい。野生生物への影響をなるべく抑えながら、(利用者が)満足できるような状況をつくっていく」と述べた。