「アマミサクライソウ」新種に 岐阜大・髙橋氏ら論文発表 奄美大島

2022年01月19日

新種と確認された「アマミサクライソウ」=2011年7月、奄美大島(髙橋弘氏提供)

奄美大島に自生する植物「サクライソウ」が、本土に分布する種とは別の新種であることが分かった。岐阜大学の髙橋弘名誉教授(75)らが「アマミサクライソウ」と命名し、日本植物分類学会が昨年11月に発行した学術誌で論文を発表した。

 

アマミサクライソウは葉緑体を持たないため光合成を行わず、菌類から栄養を得る「菌従属栄養植物」の仲間。6~7月ごろに半透明で光沢のある白っぽい花を付ける。

 

髙橋氏は2011年に奄美大島で調査を実施。岐阜や長野などに分布する種と比べて、背丈が半分以下の5~6センチほどと小さく、短い茎に花が密集して咲き、同じ花の花粉を受粉しやすいようにおしべとめしべが接していることなど、形態の特徴が異なることや、DNA解析の結果から、新種と確認した。

 

世界自然遺産に登録された奄美大島での新たな発見に、髙橋氏は「奄美が生物学的に非常に重要な所であることの証拠」と強調。「生息地が限られ、数もわずかしかない」として保護を呼び掛けた。