「潮風の中でたくましく」 ソナレムグラ(磯馴葎)  いつもの季節、いつもの磯へ。

2021年10月19日

海岸の岩場に咲くソナレムグラの花

 今の時期の楽しみは、潮水や潮風をまともに受けるような海岸の岩場で咲くイソマツ(磯松)やイソフサギ(磯塞ぎ)、イソノギク(磯野菊)、オキナワギク(沖縄菊)など。だが、目的の花が期待外れのこともあり、そんな時のがっかり気分をいつも癒やしてくれるのが本種。

 

 海岸の崖や岩の割れ目などに生え、はうように広がる茎は長さ20㌢ほど。全体的に小型では弱々しい印象だが、葉や花に触れてみると肉厚でとても丈夫。常に強い日差しや潮風を受けて生きなければならない植物はたくましくできているのだ。花の盛りは初夏から秋口のようだが、奄美では年中ちらほら咲いている。

 

 和名は、磯に生える草むらの意味とか。カタカナ名だけでは意味不明だが漢字名を見れば納得、名付け親の気持ちが伝わってきそうである。

 

 環境の違いからか、茎と花の柄が短いタイプと長いタイプ、どっちつかずのものもある。琉球には花柄の長いナガエソナレムグラなるものがあるらしいが、奄美のものがそれにあたるのかどうかは分からない。また、宮古島以南には葉が薄くて茎が直立、本種よりも果実の小さなシマソナレムグラ(島磯馴葎)が分布する。

 

 いつでもどこにでも咲いている本種のような花の撮影は、メインに向かう横目で見ながらついつい後回し。時間が余った時に「ついでの時ばかりで申し訳ないね」とわびながら写した写真の出来栄えは今ひとつだった。

 

アカネ科

分布・本州(関東)以南

  (アマチュア写真家)