「生物多様性地域戦略」改訂 奄美大島

2019年11月25日

「奄美大島生物多様性地域戦略」の改訂に向けて議論した専門委員会=24日、奄美市名瀬

「奄美大島生物多様性地域戦略」の改訂に向けて議論した専門委員会=24日、奄美市名瀬

 策定から5年目を迎えた「奄美大島生物多様性地域戦略」の改訂に向けた専門委員会(委員長・小野寺浩鹿児島大学客員教授、委員4人)の会合が24日、奄美市役所であった。改訂骨子案では、地域への関心を高め経済的にも発展していくための「(住民)意識の向上や人材育成」を重視すべき課題と指摘。委員らが自然環境保全や地域振興策について議論した。来年1月末にも会合を開き、本年度末までに改訂版をまとめる方針。

 

 同戦略は2015年、5内市町村で組織する奄美大島自然保護協議会が、生物多様性の質的向上と持続可能な利用を通じた地域活性化を目的に策定した。複数の市町村共同による生物多様性地域戦略の策定は全国で奄美大島だけ。

 

 計画期間は15年から24年までの10年間。策定からの5年で、奄美群島国立公園の指定や格安航空会社(LCC)の就航などによる入り込み客数の増加など地域を取り巻く環境は変化しており、専門家から助言を得て必要な部分について同戦略の内容を見直すことにした。

 

 委員らからは「希少種の保護は着実に進んでおり、数も増えている」「(遺産登録などに向け)各自治体もさまざまな取り組みを続けている」と評価する声や、「観光客は今後5年で倍増してもおかしくない。対応策を準備していたほうがよい」「生物多様性の意味は難しい。もっと一般の人が理解できる工夫を」などの助言や要望があった。

 

 会合で示された改訂骨子案では、来年の世界自然遺産登録の実現に向け、地域への関心や問題意識を育む動機づくりや地域の特徴を保ちつつ、経済的にも発展していくための「(住民)意識の向上・人材育成」を特に重視すべきとした。

 

 このほか▽環境の劣化抑制(利用の分散など)▽機会提供の促進(観光客受け入れ施設整備など)▽地域活性化(地場産品の利用促進など)▽資金の調達(自然利用による利益を保全に用いる仕組みなど)―を課題とした。