クロウサギ生息地など誤開示  環境省 

2019年02月19日

国の特別天然記念物アマミノクロウサギ

国の特別天然記念物アマミノクロウサギ

 環境省九州地方環境事務所が情報公開請求者に対して、国の特別天然記念物アマミノクロウサギなど、非公表としている奄美の希少な動植物の生息地などが明示された資料を誤って送付していたことが分かった。請求者の指摘で15日に発覚した。同事務所は「確認が不十分だった」として再発防止に努めるとしている。

 

 九州地方環境事務所などによると、昨年11月、情報公開法に基づき、専門家で構成する奄美の希少野生生物保護増殖検討会の過去の資料や議事録の開示請求があった。請求に応じて1月、検討会が設置された2013年度から5年分の文書約600㌻分を送付した。

 

 アマミノクロウサギは奄美大島と徳之島の固有種。森林開発や外来種のマングースの捕食などで数が減り、同省はレッドリストで近い将来、野生での絶滅の危険性が高い絶滅危惧ⅠB類に位置付けている。種の保存法で国内希少種に指定し、捕獲を禁じている。

 

 同省はクロウサギなど希少な動植物の捕獲や採取を防止するため、内規で生息地の情報を非公開としている。

 

 文書ではクロウサギをはじめ、同じく国内希少種で国の天然記念物のアマミヤマシギ、オオトラツグミ、アカヒゲのほか、ケナガネズミやトクノシマトゲネズミなど希少種11種の生息地の地名や地図情報や、検討会委員の電子メールアドレスなどの個人情報が明示されたままだった。

 

 文書を受け取った情報公開請求者から「非開示部分のマスキング(黒塗り)がないのではないか」と指摘があり、連絡を受けた同省那覇自然環境事務所は謝罪するとともに、文書を廃棄か返送するよう要請した。

 

 九州地方環境事務所は「非公開部分が表示された資料を発送段階で誤って印刷した」と原因を説明。再発防止に向けて「担当部署でダブルチェックを行うなど体制を確保する」と述べた。