三太郎線で夜間車両規制へ

2020年10月13日

世界自然遺産

 環境省は12日までに、夜間に野生生物を観察するナイトツアーで人気が集まる奄美市住用町の市道三太郎線周辺で11月19~23日の夜、車両の通行を規制する実証実験を行うと発表した。奄美大島の世界自然遺産登録に伴う利用者の増加を見据えて、交通事故などから野生生物を保護することが目的。地域住民や観光ガイド、観光客などすべての人が対象で、期間中の通行は予約制とし、車両台数などを制限する。実験の効果を検証し、2021年度中に利用ルールの導入を目指す。

 市道三太郎線は、奄美市住用町の三太郎峠(約343㍍)の麓にある東仲間、西仲間両集落を結ぶ旧国道。峠一帯は国の特別天然記念物アマミノクロウサギなど希少な動物が多く、世界自然遺産登録を目指す奄美・沖縄の候補地の一つ。

 実証実験では、環境省が三太郎線で実施した利用状況調査などを踏まえて、ナイトツアーの利用ルール案を試行する。利用者を制限して野生生物が生息する環境を守り、他の車両の追い越しなど利用者同士のトラブルの防止も図る。

 期間中は午後6時から11時までの間、三太郎線の東仲間│西仲間の約10㌔の区間で車両の通行を規制する。東仲間から西仲間方向への一方通行とし、利用台数は1日20台まで。予約は15分ごとに1台として、車両同士の間隔を確保する。

 区間の出入り口に簡易ゲートを設置し、関係機関の職員が誘導を行う。利用者には、野生生物の交通事故防止のため時速10~15㌔以下で走行することなど、観察ルールの順守を求める。予約をしていない訪問者には利用の自粛を求めるが、規制に法的な強制力はなく、協力を依頼する。

 三太郎線が接続している市道スタル俣線(住用町神屋、約6・2㌔)と、市道石原栄間線(住用町石原│山間、約2・5㌔)は夜間通行止めとする。
 環境省沖縄奄美自然環境事務所のホームページから三太郎線の予約の方法や予約状況を確認できる。

 奄美群島国立公園管理事務所の早瀬穂奈実国立公園管理官は「三太郎線周辺ではナイトツアーが集中して多くの問題が発生している。奄美大島の貴重な自然を守りながら、利用者も安心して楽しむことができるルールを作り、持続可能な利用を目指したい」と述べた。