奄美・沖縄の連携強化を確認 20年夏の登録実現へ 世界自然遺産・地域連絡会議

2018年06月28日

世界自然遺産

奄美・沖縄の関係者らが一堂に会した世界自然遺産候補地地域連絡会議=27日、奄美市名瀬

奄美・沖縄の関係者らが一堂に会した世界自然遺産候補地地域連絡会議=27日、奄美市名瀬

  「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」世界自然遺産候補地地域連絡会議の会合が27日、奄美市名瀬のAiAiひろばであった。国、鹿児島、沖縄両県と遺産候補地4地域の12市町村長ら関係者約60人が出席。政府が今年の登録を断念し、国連教育科学文化機関(ユネスコ)への推薦を取り下げたことを受けて、来年2月1日までに推薦書を再提出し、2020年夏の再挑戦を目指す最短のスケジュールで手続きを進める方針を了承。早期の確実な登録実現へ奄美・沖縄の関係機関の連携強化を申し合わせた。

 

 奄美・沖縄4島の世界自然遺産登録については、現在中東バーレーンで開かれている世界遺産委員会で登録の可否が決まる最終審査を予定していたが、ユネスコの諮問機関・国際自然保護連合(IUCN)は5月初め、推薦区域の見直しを求めて「登録延期」を勧告。政府は6月1日に推薦を取り下げた。

 

 地域連絡会議は行政や地元団体など関係機関の連絡・調整や合意形成を図る目的で16年10月に設立。地域別の部会を設けて遺産候補地の適正な管理の在り方を検討している。推薦取り下げ後、奄美・沖縄の関係者らが一堂に会するのは初めて。

 

 会合で環境省はIUCN勧告への対応を説明。沖縄島の米軍北部訓練場返還地は7月までにやんばる国立公園に編入し、新たに推薦区域に含める。各地域の小規模な分断地の整理や西表島北部・北西部の流域の拡張について専門家の助言を受けて検討する。遺産の価値を示す評価基準は、勧告に沿って「生態系」を見送り、「生物多様性」に焦点を当てて推薦書を修正する。

 

 今後のスケジュールは、9月末までに暫定版を提出した上で、19年2月1日までに正式な推薦書を世界遺産委員会に再提出する方針。同年夏ごろにIUCNの再度の現地調査を経て、20年夏の登録を目指す。

 

 協議では奄美、沖縄双方の自治体から早期の登録実現を期待する声が相次いだ一方、「もう少しゆとりを持った方がいい」として、希少種の保護や観光客の増加など課題への対策の遅れを懸念する意見もあった。

 

 環境省の奥田直久自然環境計画課長は「推薦した4島に世界自然遺産の価値はあると確信している。皆さんの盛り上がりと協力を絶やすことなく、2年後には登録の勧告を勝ち取り、完全な登録を成し遂げる。そこまで全員一丸となって頑張っていきたい」と述べた。

 議事に先立ち、奄美・沖縄の世界自然遺産候補地科学委員会委員長の土屋誠・琉球大学名誉教授が「世界自然遺産と琉球列島」と題して講演した。