今年は74産卵巣被害を確認 国直ウミガメミーティング

2018年08月22日

リュウキュウイノシシによる産卵巣の食害防止に効果が出ている防護網(奄美海洋生物研究会提供)

リュウキュウイノシシによる産卵巣の食害防止に効果が出ている防護網(奄美海洋生物研究会提供)

 奄美海洋生物研究会(興克樹会長)主催の奄美大島ウミガメミーティングが18日夜、大和村の国直公民館であり、リュウキュウイノシシによるウミガメの卵の食害について報告があった。今年は奄美大島周辺の浜辺8カ所合わせて74産卵巣で被害が確認されている。県の保全対策で防護網が設置された大和村の浜辺では被害が減少している。

 

 奄美大島でウミガメの上陸産卵期は5月から7月にかけて。同研究会はウミガメの産卵環境保全の一環で、リュウキュウイノシシによる卵の捕食被害状況を2012年から奄美大島と加計呂麻、請、与路の各島で実施している。

 

 報告によると、今年の捕食被害状況は18日までに▽奄美大島3浜6巣▽加計呂麻島1浜10巣▽請島3浜47巣▽与路島1浜11巣。浜別では請島のヤンマ地区26巣と最も多く、同ケラジ地区15巣、加計呂麻島の西阿室大浜10巣と続く。

 

 イノシシによる食害は13年の146巣が最多。15年以降は産卵回数の減少に伴って100巣以下にとどまっていたが、17年には154件の被害が確認された。

 

 網をかぶせた産卵巣は大和村の石川海岸とヒエン浜の2カ所。石川海岸では網をかぶせなかった17年に19件の被害があったのに対し18年は4件と減少し効果が出ている。

 

 興会長はワイヤメッシュを張って食害を防ぐ対策法について「被害数は産卵数の減少と比例しており、一概には言えないが効果は出ている」と述べ、「陸路がない島では産んですぐメッシュを張ることができないため被害が多い。イノシシの駆除も進める必要がある」と話した。

 

 環境省奄美野生生物保護センターの報告によると、今年の大和村西部の上陸数はアカウミガメ25回(前年68回)、アオウミガメ0回(前年31回)。産卵数はアカウミガメ11回(前年25回)、アオウミガメ0回(前年4回)となっている(調査期間5月30日~8月6日)。

 

 興会長は「産卵数には上下があるものだがアカウミガメの減少傾向が続いているのが気にかかる。長期的な調査が必要。これからも協力を得て続けていきたい」と話した。

 

 ミーティングには親子連れなど約100人が参加。ウミガメの生態などについて理解を深めた。