奄美大島でノネコ捕獲始まる

2018年07月18日

ノネコ捕獲のため山中に設置されたかごわな=17日、奄美大島(環境省奄美自然保護官事務所提供)

ノネコ捕獲のため山中に設置されたかごわな=17日、奄美大島(環境省奄美自然保護官事務所提供)

  環境省は17日、奄美大島で希少な野生生物を襲って生態系を脅かす野生化した猫(ノネコ)の捕獲を開始した。島内の山中に生け捕り用のかごわな100基を設置し、稼働させた。2018年度は270匹の捕獲を計画している。世界自然遺産登録を目指す同島で、希少種の保護に向けた喫緊の課題となっているノネコ対策が本格化した。

 

 同省は6月下旬以降、同島で希少な野生生物が多く生息する山中の16平方㌔の範囲に、自動撮影カメラを設置してノネコの生息状況などを確認するモニタリング調査を行い、かごわなの設置作業を進めた。同日は同省奄美自然保護官事務所の職員らがわなに餌を置き、ノネコが入れば入り口が閉まるようにわなを稼働させた。

 

 わなは毎日点検し、ノネコが入っているかどうかを確認する。同じ地点で捕獲作業とモニタリングを一定期間繰り返し、2カ月をめどに次の地点の作業に移行する。

 

 捕獲した猫は島内5市町村でつくる奄美大島ねこ対策協議会が運営する奄美ノネコセンター(奄美市名瀬)に一時収容し、事前に募った譲渡希望者への引き渡しを進める。譲渡先が決まらない場合は、1週間をめどに安楽死処分とする。

 

 同協議会によると、これまでに島内外の個人、団体の3件から譲渡を希望する申請があった。今後も譲渡希望者の募集を続ける。

 

 奄美大島の森林部には推定600~1200匹のノネコがいると推定され、近年、国の特別天然記念物アマミノクロウサギなどの野生生物を捕食する被害が確認され、生態系への影響が懸念されている。

 

 同省奄美自然保護官事務所は「今後もしっかりと関係機関と連携しながら、島の生態系保全のため、着実に捕獲を進めたい」としている。