徳之島の剥岳、三京両林道で利用調整

2019年03月20日

剝岳、三京両林道の利用に関する協定を締結した3者の代表者=19日、天城町役場

剥岳、三京両林道の利用に関する協定を締結した3者の代表者=19日、天城町役場

 林野庁九州森林管理局鹿児島森林管理署と天城町、徳之島エコツアー連絡協議会は19日、徳之島中部の剥岳(はげだけ)林道と三京林道の利用に関する3者協定を締結した。4月から両林道の利用は、原則としてエコツアーガイドを伴った入林のみに制限し、希少種保護と林道の利用調整を図る。地元の自然保護団体は「協定の締結は自然保護や住民意識の啓発につながる。他の島でも同様の取り組みが進めば」と期待を示した。

 

 林野庁は2013年4月、希少動植物や森林生態系を将来にわたって保護するため、両林道を含む周辺国有林を「奄美群島森林生態系保護地域」に指定した。奄美群島国立公園の区分では、剥岳林道は特別保護地区と第1種特別地域、三京林道は特別保護地区と第2種特別地域が混在するエリア。世界自然遺産登録を目指して今年2月に政府がユネスコ(国連教育科学文化機関)に提出した推薦書で遺産候補地となっている。

 

 これまで両林道の立ち入りは森林管理署への届け出が必要だったが、4月からは同協議会が窓口となり、原則としてエコツアーガイド同伴が条件となる。対象区域は剥岳林道全区間(2・3キロ)と三京林道の起点から2・2キロ。協議会側は天城町と森林管理署徳之島森林事務所へ入林の連絡を行い、3者間で入林情報を共有する。

 

 天城町役場で協定締結式があり、森林管理署の山口輝文署長と森田弘光町長、同協議会の美延睦美会長が署名した。森田町長は「協定締結は世界自然遺産登録への大きな第一歩」、美延会長は「徳之島の森の最大の理解者となり、豊かな自然を子孫につないでいけるよう尽力する」と述べた。

 

 山口署長は「世界自然遺産候補の他の島に先駆けて、徳之島で協定が結ばれたことを喜ばしく思う。遺産登録に向けて、厳格な保護に取り組む姿勢を示し、地元と一体となって準備が進んでいることのアピールになる」と話した。

 

 3者代表者らは締結式終了後、両林道を現地視察した。

 

 両林道は4月以降、原則として車両の乗り入れを禁止する。剥岳林道では16年12月から、天城町三京と徳之島町大原の林道入り口に門扉を設置・施錠して通行規制が始まっている。三京林道は早ければ4月にも起点となる三京の林道入り口に門扉を設置する。

4月から利用規制が始まる三京林道=19日、天城町三京

4月から利用規制が始まる三京林道=19日、天城町三京