松枯れ沈静化 徳之島も大幅減 20年度松くい被害

2021年09月24日

12年前(2009年12月)=左=と比べ、枯れ松がなくなり緑が戻った奄美市住用町の景観=23日

 県大島支庁林務水産課がまとめた2020年度の松くい虫被害状況によると、奄美群島全体の被害容量は409立方メートルで、前年度から2203立方メートル減少した。奄美大島は2年連続で確認されず、徳之島でも大幅に被害規模が縮小した。一方、近年は松枯れがほとんどなかった瀬戸内町の加計呂麻島で39立方メートル(前年度2立方メートル)の被害を確認。県は今後も状況を注視しつつ、必要な防除事業を継続していく方針。

 

 松枯れは、体長1ミリ程度の線虫・マツノザイセンチュウが松の樹体内に侵入して引き起こす。被害木は樹勢が衰え、葉が赤茶色になって枯れる。この線虫をマツノマダラカミキリ(カミキリムシ)が松から松へ運び、被害を拡大させる。

 

 奄美での松枯れ被害は加計呂麻島で2000年以前から確認され、駆除事業が行われていたが、05年頃から急拡大。奄美全体の被害容量は2010年度の8万8076立方メートルをピークに減少したが、10年度以降に徳之島と沖永良部島でも被害が確認された。

 

 松枯れによる松の減少や自治体の駆除事業により近年は被害が減少。17年度に被害容量が群島全体の95%を占めていた徳之島も18年度1万2891立方メートル、19年度2610立方メートル、20年度370立方メートルと、被害が沈静化した。

 

 同課は「群島全体で被害は治まりつつあるが、徳之島は以前残っており、加計呂麻島でも被害が出てきている。今後、さらに広がらないとも限らないため、状況を注視し、枯れ松の伐採、薫蒸処理など必要に応じた駆除事業を行っていく」としている。