一村の絵との出合い語る 西村さん、芸術講演会 奄美パーク

田中一村について講演する西村康博さん=3日、県奄美パーク

 奄美市笠利町の県奄美パークで3日、奄美で数々の作品を描き生涯を終えた日本画家・田中一村をテーマに講演会があった。田中一村記念美術館の初代学芸員で、日本画講師の西村康博さんが、一村が有名になるきっかけとなった遺作展が開催されるまでの経緯やその後のエピソードなどを話した。

 

 西村さんは東京芸術大学大学院日本画科を卒業。奄美高校に赴任していた1979年、当時、南日本新聞大島支社長だった中野惇夫さんから「絵を見てほしい」という依頼を受け、無名だった一村の絵と出合った。

 

 西村さんは「不喰芋と蘇鉄」などを見てゴッホやゴーギャンを思わせる強烈な印象を覚え、一流の作品と確信。中野さんと、生前の一村と親交があった宮崎鐵太郎さんと協力し遺作展の準備を進め、西村さんは一村の絵を展示用に一つ一つ時間をかけて表装した。

 

 大勢の協力で一村三回忌の遺作展は実現。その後テレビ番組で取り上げられるなど遺作展がきっかけとなって一村の名は日本中に知れ渡っていった。

 

 西村さんは「一村の絵は物をよく見て描いているので線が生きていて、几帳面で妥協しない」と解説したほか、一村の研究にまつわるエピソードも語った。

 

 日本中に愛される一村さんになったのはなぜかという質問に、西村さんは「自分にとっての真実を追い求める姿勢にひかれるのではないか。一村が素晴らしいのは奄美の作品と生き方にある」とも語った。