家族の絆テーマに手作り島民劇

2019年10月28日

芸能・文化

島民が熱演した劇「この町で~井之川 夏物語り~」=27日、徳之島町文化会館

島民が熱演した劇「この町で~井之川 夏物語り~」=27日、徳之島町文化会館

 徳之島町立文化会館(椛山幸栄館長)の開館25周年を記念した島民劇「この町で~井之川 夏物語り~」の公演が27日、同館であった。平凡な毎日を送る一家7人に起こる結婚や死別などさまざまな出来事を通して、家族や夫婦の愛情、絆を描いた舞台に家族連れなどが詰め掛け、島民らの熱演に大きな拍手を送った。

 

 島民劇の企画は2009年の「北緯29度線」、2014年の「島ぬ夫婦」に続き3回目。過去2回の公演の経験を基に、演出から役者、照明、音響など全て島民が手掛け、脚本と演出は同館職員の大樂大聞さんが担当。小道具や衣装など裏方を含め総勢100人以上の島民が参加した。

 

 昼夜2公演に延べ約900人が来場した。物語の主な登場人物は、夏の井之川集落で同居する「福山家」の3世代7人。主演の信吾、ゆかりの夫婦役は保久幸仁さん(徳之島町亀津)、福澄亜紀子さん(天城町岡前)が演じた。

 

 音信不通だった長女の逢月(はづき)が結婚のため、4年ぶりに帰郷したところから物語はスタート。突然の結婚報告に両親から反対されながらも、幸せを願うきょうだいの協力で親子の溝を埋め、手作りの結婚式で家族の絆を深めた。

 

 結婚式後、余命宣告を受けた祖母・幸子と祖父・勉の回想シーンがあり、会場からすすり泣きも漏れた。幸子との死別を乗り越え、翌年の夏には逢月の赤ちゃんが生まれ、時間の経過とともに家族の形が変化しながらも強い絆で結ばれる一家を演じた。

 

 昼の部を鑑賞した徳之島町井之川の加友美さん(47)は「夫婦や家族の絆が強くなっていく展開に感動した。島の人たちだけでこのような劇を作り上げたことに驚いた」と話した。