島尾敏雄の貴重な日記展示 県立奄美図書館

2020年10月21日

芸能・文化

企画展開催中の島尾敏雄記念室で、講演会を告知する県立奄美図書館の職員=16日、奄美市名瀬

企画展開催中の島尾敏雄記念室で、講演会を告知する県立奄美図書館の職員=16日、奄美市名瀬

    奄美市名瀬の県立奄美図書館は13日から、島尾敏雄記念室企画展を開催している。奄美ゆかりの作家・島尾が書いた1955~75年まで約20年間の日記(複製版)を展示。その間、島尾は旧名瀬市で暮らし、代表作である「死の棘(とげ)」をはじめ私小説や奄美にまつわる作品を数多く残した。日記は当時の島尾の心情に触れられる貴重な資料で、日記を通して当時の島の暮らしや文化も垣間見ることができる。同図書館では来月8日、「島尾敏雄記念室企画講演会」も開催される。

 

 島尾は1917年、横浜市生まれ。九州帝国大学を卒業後、特攻艇を率いる第18震洋隊の指揮官として加計呂麻島に駐屯した際、ミホ夫人と出会った。55年から75年まで旧名瀬市で生活。72年に南海文化賞を受賞し、県立図書館奄美分館長を務めた。晩年は鹿児島市で過ごし、86年に69歳で亡くなった。

 

 日記は小学生の頃から書き始めており、その内容は非常に詳細。目覚めてから床に着くまでを時系列で記録しており、日によっては数ページにわたるものもある。

 

 同図書館指導主事兼専門員の田平奈保美さんは「過去の企画展で日記を展示した際、『当時の島の生活や文化も垣間見られ、懐かしさを感じた』といった声があり、今回も約20年分の日記を展示している。多くの方に見てほしい」と来場を呼び掛けた。

 

 企画展は来月17日まで。図書館の開館時間は午前9時で平日は午後7時、日曜祝日は午後5時に閉館する。月曜が定例休館日。

 

 11月8日の講演会は午後2時から同図書館4階研修室で。名桜大学国際文化教育学系の小嶋洋輔教授が「文化継承者としての島尾敏雄」の題で講演する。入場無料。問い合わせは電話0997(52)0244の同図書館。