戦争遺跡19件、包蔵地に 文化財指定へ周知と保護へ 奄美群島初 瀬戸内町

2018年11月01日

芸能・文化

埋蔵文化財包蔵地に決定した佐世保海軍軍需部大島支庫(水溜)跡=瀬戸内町久慈

埋蔵文化財包蔵地に決定した佐世保海軍軍需部大島支庫(水溜)跡=瀬戸内町久慈

 県教育委員会はこのほど、瀬戸内町の戦争遺跡(近代遺跡)19件を埋蔵文化財包蔵地に決定した。戦争遺跡の埋蔵文化財包蔵地決定は奄美群島では初めて。2014年度からの埋蔵文化財調査の成果によるもので、町教育委員会の担当者は「国の文化財指定に向けた一歩」としている。

 

 包蔵地は遺跡や遺物などの文化財が埋蔵されている土地で、土木工事などを行う場合は、文化財保護法に基づき届け出が義務付けられる。県教委文化財課によると、県内の戦争遺跡で包蔵地となっているのは同町のほか、南九州市知覧町に陸軍飛行場跡など4件ある。

 

 今回包蔵地とされたのは、奄美大島側にある西古見砲台跡、手安弾薬本庫跡、久慈の佐世保海軍軍需部大島支庫(水溜)跡など。今後も調査を進め、加計呂麻島の戦争遺跡なども追加していく方針。

 

 瀬戸内町教育員会社会教育課埋蔵文化財担当の鼎丈太郎学芸員は「これまで法の網がかかっておらず、知らずに壊されていく状況だった。国の文化財指定に向け、保護、活用できるようにしていきたい」と話した。

 

 包蔵地は県埋蔵文化財センターのホームぺージで確認できる。町教委でも今後、町のホームページや広報誌などで周知を図るが、個人所有地や未整備な危険地域もあるため、「見学する場合はガイドを同行させて」と呼び掛けている。