Iターン者ら三献を体験 瀬戸内町・篠川

2021年02月13日

芸能・文化

長老役で参加者に干物を配る叶さん=12日、瀬戸内町篠川

長老役で参加者に干物を配る叶さん=12日、瀬戸内町篠川

 年始などの祝い事で執り行われる奄美大島の伝統儀式「三献(さんごん)」の体験イベントが、旧暦の元日に当たる12日、瀬戸内町篠川の叶農産であった。Iターン者も含め島内から約15人が参加。吸い物などの三献料理と奄美の旧正月を堪能した。

 

 三献は奄美の伝統儀式で、年始祝いや結婚式などで用いられる。一般的に餅の吸い物、刺し身、肉吸い物の三つの膳が用意され、食事の前後で酒や塩、干物などが供されるが、各地区によって具材や食べる順番などは異なる。

 

 イベントは周囲のIターン者からの「三献料理を味わってみたい」という声に応えて叶農産代表の叶辰郎さん(68)らが企画。有志と協力して開催した。参加者は①魚、餅の入った吸い物②刺し身③豚肉と大根、フル(ニンニク葉)の汁物│の順番で料理を味わった後、長老役からおとそや塩、スルメ、昆布を受け取る年始の儀式も体験した。

 

 昨年12月に大阪から奄美に移住したという清水早苗さん(龍郷町)は「正月料理といえば関東風のおせちのイメージだった。奄美の伝統を体験できてありがたい。料理も全部おいしかった」と感想を述べた。

 

 叶さんは「奄美の伝統に興味のある人が集まってくれた。あくまでわが家流の三献だが、喜んでもらえてよかった」と笑顔。調理を担当した叶さんの妻の淳子さん(58)は「ポイントはだし。シイタケとだし昆布を調理の1日前から水で戻すと良いだしが出る。ひと手間かけるだけでおいしくなるので家庭でも試してみて」と助言した。

参加者に振る舞われた三献料理

参加者に振る舞われた三献料理