中間・期末試験廃止 知識偏重の評価脱却へ 与論高、生徒の主体性重視

中間・期末の定期試験をなくした与論高校の日本史の授業。各単元、学習内容ごとに生徒たち自身で調べて発表し、質疑を経て振り返る形式を導入した(同校提供)

 与論町の与論高校(甲斐修校長、生徒108人)は今年度から、各学期の中間・期末試験を廃止した。2022年度から導入される新学習指導要領に基づき、現行と異なる成績評価指標を先行運用。生徒の主体性を重視し、定期試験を中心とした知識偏重の成績評価脱却を目指す。定期試験の全面廃止は、県内で先駆的な取り組みだという。(西谷卓巳)

 

■試験は単元ごとに

 

 「因数分解」「関係代名詞」「日本国憲法」など、各教科で単元(まとまり)ごとの試験に変更。「定期試験は慣例であり、義務ではない。学習理解度を評価するタイミングが全教科一律である必要性もない」(甲斐校長)と判断した。

 授業の補足・延長として、早朝に実施していた「朝課外」も取りやめた。生徒主体で課外学習に取り組ませ、自己管理能力を養う狙い。各教科の担当教員も、通常授業に収まる範囲で学習量を調整するよう足並みをそろえた。

 同校では、これらの変更に伴い単元ごとに目標や内容、評価基準などをまとめたシラバス(授業予定表)作成を徹底。年間の学習計画と合わせて配布し、全体図(年間計画)における現在地(学習単元)を生徒に意識させながら、授業を進めている。

 

■多様な授業で多角的評価

 

 成績は新学習指導要領に基づき①知識・技能②思考・判断・表現力③主体性│の3観点各30点、合計90点満点で評価。プレゼンテーション(発表)やディスカッション(議論)など多様な授業を展開し、学ぶ姿勢を多角的に見る。

 評価は、単元ごとに生徒へ開示。振り返る機会を増やすことで、生徒自ら得意や苦手を認識しやすく、より主体的・発展的な学びが期待できるという。同校は、予測困難な時代を主体的に生き抜く力の育成を、教育の重点目標に掲げている。

 

■教員「大学に近づいた」

 

 3年生の担任・堀切友弥教諭は「大学の学び方に近づいた印象。長期区切りの定期試験と比べ、一人一人の学習状況や理解度を的確に把握しやすい。基準を明示した上での成績評価は、学び成長する生徒の実感や自覚にもつながると思う」と好感触を示している。

 「筆記試験は知識や思考力を測りやすい反面、一人一人の主体性が反映されづらい。社会情勢の多様・複雑化に伴う大学入試改革も、重視するのは『生き抜く力』。先行きの見通せない時代に必要とされる学習、教育の実現へ試行錯誤を続けたい」(甲斐校長)。

 

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 群島内の各高校が公開する行事予定によると、今年度の定期試験を全面廃止しているのは与論1校。大半は1、2学期の中間・期末と学年末で、年間計5回の定期試験を実施している。一方、中間試験のみ取りやめるなど、部分的に試行するケースもある。

 県教育庁高校教育課によると、具体的なデータはないが、県内の各高校では定期試験を軸とした成績評価が一般的。同課の担当者は「与論高校は県内の先駆事例といえる。一つのモデルケースとして周知していきたい」としている。