奄美の黒糖秘話に驚き キビ栽培を歴史から学ぶ 宇検村田検中

2020年12月06日

子ども・教育

黒砂糖の歴史を紙芝居などオリジナルの資料を使って中学生に解説する晨原大和村教育長=3日、宇検村田検の田検中学校

黒砂糖の歴史を紙芝居などオリジナルの資料を使って中学生に解説する晨原大和村教育長=3日、宇検村田検の田検中学校

 宇検村田検の田検中学校(鬼塚祥朗校長、全校生徒19人)で3日、奄美の黒砂糖の歴史を学ぶ講演会があった。大和村の晨原(あさはら)弘久教育長を講師に招き、江戸から明治期の黒砂糖地獄と呼ばれた薩摩藩の圧政や、自由売買を求めた奄美での市民運動の歴史を紙芝居風の資料で分かりやすく伝えた。

 

 田検中は1年生が総合的な学習の時間に自校の農園でサトウキビを栽培している。収穫後は奄美大島開運酒造の協力で黒砂糖に加工してもらい、郷土学習にいかしている。今回は、奄美での黒砂糖にまつわる歴史を学ぶことでより深い理解を促進しようとの企画。

 

 晨原教育長は大和村の開饒(ひらとみ)神社に伝わる説で、1600年代に奄美大島に初めてサトウキビをもたらしたとされる直川智の話から解説。中国の福建省から柳ごおりの底にサトウキビをしのばせてきたエピソードを、道具を使って再現して見せた。

 

 また黒砂糖にまつわる薩摩藩の厳しい取り立てや、債務奴隷の家人(ヤンチュ)制度が生まれたこと、丸田南里らを中心として黒糖の自由売買を求めて大島商社の解体に至った歴史を説明した。

 

 2年の藤明生(みょうせい)さん(14)は「奄美の黒砂糖は有名なのでずっと成功した歴史をたどってきたと思っていたが、地獄のような時代があったことを初めて知った」と話し、3年の松井美優さん(15)は「先祖が苦労してきた歴史を知った」と語った。

 

 晨原教育長は「日本ではあまり知られていない影の歴史。若い世代には未来志向で奄美の歴史を乗り越え、受け継いでいってほしい」と話した。