鈴倉さん卒業に笑顔 重い後遺症、友と乗り越え 大島北高校

2020年03月03日

子ども・教育

卒業式後、クラスメートや保護者らと記念写真を楽しむ鈴倉さん(前列中央)=2日、奄美市笠利町

卒業式後、クラスメートや保護者らと記念写真を楽しむ鈴倉さん(前列中央)=2日、奄美市笠利町

  奄美市笠利町の県立大島北高校(下髙原涼子校長、生徒116人)で2日、脳出血の影響で左片まひと失語症など重い後遺症がある普通科の鈴倉健太さん(18)=笠利町笠利=がクラスメートと共に笑顔で卒業を迎えた。式後に筆談で「高校生活を楽しめたのは友人たちのおかげ。卒業後は大学で地域振興について学ぶ。将来は友人や家族、地域の人たちに地域振興という形で恩返ししたい」と語った。

 

 鈴倉さんは中学2年時に脳出血を発症。約1年間のリハビリを経て右手を動かせるまで回復した。小学2年から発症するまで野球に打ち込んでいたという鈴倉さんは「また思い切り野球をしたい」という思いを胸に高校進学を志したという。

 

 同校は鈴倉さんの入学を受けて、スロープ設置など施設のバリアフリー化を進めた。教室の移動も便利にして鈴倉さんの高校生活を支えた。

 

 野球再開は実現できなかったが「クラスみんな仲が良く、なんでも言い合える仲。毎日楽しかった。私はやりたいことをやった。毎日がいい思い出」と胸を張った。

 

 両親の大毅さん(44)とめぐみさん(44)は通学や学校での介助などで、鈴倉さんをサポートした。鹿児島本土の大学での新生活は、めぐみさんが一緒に歩む。大毅さんは「健太は友に恵まれ、地域と学校の支えで3年間を楽しく過ごせた。地域活性化が夢という健太をこれからも応援していきたい」と語った。