避難先問題が浮上 「最悪」想定し活発に議論 防災ワークショップ 宇検村湯湾

地図に避難対象や避難先を書き込む参加者ら=23日、宇検村

 地球温暖化に伴い台風の勢力が増すとの指摘がされる近年。宇検村は23日、猛烈な台風襲来を想定した防災ワークショップ「湯湾地区での個々の避難行動を考える」を、同村湯湾の生涯学習センター・元気の出る館で開催した。消防や役場関係者、住民ら約40人が参加。高潮対応での地区防災計画の立案を目指し、台風への備えを具体的に話し合った。

 

 講師は、鹿児島大学総合教育機構共通教育センターの岩船昌起教授(53)が務めた。岩船教授は同村の特性に▽居住地が標高5メートル前後の沖積低地▽海と山に係る自然災害の恐れ▽発災時の集落孤立の危険性│を挙げ、2020年の台風10号襲来時の県下での避難所開設・運営の実態を踏まえ、コロナ禍における早期避難や分散避難の大切さを訴えた。また、今年5月に内閣府が改定した「避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針」に触れ、自治体が進める課題の一つに、福祉関係者との強固な連携が重要とした。

 

 ワークショップでは、5メートルの高潮が湯湾地区を襲ったと、「最悪」の事態を想定。大潟浜、前倉、下朝戸、中里、古欄の5グループに分かれ、字ごとの地図を前に「どの家の人が、どこに逃げるか」など、浸水段階に応じた避難対象と避難先を割り出しながら、色ペンなどを使って視覚化させたほか、個別避難先名簿を作成した。下朝戸在住の40代女性は「集落には2階建の鉄骨造の建物はほとんど無く、避難先がないことが分かった。地区を見つめ直すことで現状が把握でき、良い機会になった」と感想を話した。

 

 岩船教授は「避難場所が役場に集中するなど湯湾地区全体の課題が見えるとともに、住民の活発な議論から問題の共有が図られ、有意義な研修となった」と講評とした。

 

 今回のワークショップの内容は、12月19日に同館で開催されるシンポジウムで発表される。