世界遺産生かし交流拡大 奄振総合調査報告書 

2018年04月02日

政治・行政

奄美群島振興開発総合調査報告書

奄美群島振興開発総合調査報告書

 奄美群島振興開発特別措置法(奄振法)の期限切れを2018年度末に控え、県は振興開発の方向性を示す総合調査報告書を作成した。定住促進や条件不利性の改善に加え、世界自然遺産登録を生かした交流拡大や滞在型・着地型観光を進めるための方策を盛り込んだ。地域主体の取り組みとして、外国の航空機や客船が直接出入国できる特区の指定などが必要だとした。

 

 現行計画で掲げた数値指標18件のうち、目標を超えたのは4件。宿泊観光客数やエコツアーガイド認定数は目標を達成した半面、海面漁業の生産額や情報関連企業の事業所数は目標に届いていない。

 

 住民アンケートや有識者への意向調査では▽人口減少と少子高齢化▽労働条件がいい仕事の確保―などが課題に挙がった。群島外の出身者からは▽世界自然遺産を生かした交流拡大と産業振興▽教育環境の整備―などが求められている。

 

 県はこれらを踏まえ、定住促進策や滞在型・着地型観光の促進などを基本方針に掲げた。報告書は18年度の奄振審議会で法延長の論点を整理するため、資料として役立てる。

 

 地域主体の取り組みは奄美12市町村の成長戦略ビジョン(改訂版)の内容を載せた。「奄美群島総合特区」として▽外国の航空機や客船が直接出入国できる国際観光港特区▽空き部屋に旅行者を有料で宿泊させる「民泊」の柔軟な運用を認める民泊推進特区―などの指定を求めている。

 

 報告書は1千部作成し、奄美12市町村や関係機関に配った。県大島支庁や各市町村、県のホームページで閲覧できる。