初動防除を強化 きょうから誘殺板空中散布 瀬戸内町全域

2019年12月03日

政治・行政

国、県の担当者から説明を受ける瀬戸内町の農家ら=2日、町きゅら島交流館

国、県の担当者から説明を受ける瀬戸内町の農家ら=2日、町きゅら島交流館

 瀬戸内町請島、加計呂麻島の一部で果樹・果菜類の害虫ミカンコミバエが複数誘殺されていることを受け、県などは3日から航空防除として、町内全域の山間部などに誘殺板(テックス板)計3万9千枚を散布する。2日、同町きゅら島交流館で住民説明会を開き、「2015年度の緊急防除のような状況にならないよう、ミカンコミバエのまん延、定着の防止に万全を期す」と初動防除の強化策であることを強調。住民の理解と協力を求めた。

 

 門司植物防疫所名瀬支所と県によると、同町では11月6日以降、ミカンコミバエの誘殺が請島で13匹、加計呂麻島で5匹確認された。これまでにトラップを増設して監視体制を強化したほか、誘殺板2500枚を請、与路、加計呂麻3島に手作業で設置するなど対応している。

 

 今回の航空防除は、同地域で誘殺が相次いでいる状況や、山間部など人力での誘殺板設置が困難な地域もあることから、初動防除として実施する。果物などの島外出荷が規制されることはない。

 

 誘殺板は、4・5センチ四方に固めた木材繊維に薬剤を含ませたもの。有人ヘリコプターで、水源地や国立公園の一部を除く山間部などに空中から散布する。国立公園内にも回収を前提に手作業で設置する。

 

 空中散布の日程は3日に請島、与路島、加計呂麻島、4~5日に加計呂麻島、6日に同町の奄美大島側で予定しているが、天候などの影響で順延する場合もある。航空防除後も請、与路、加計呂麻3島については20年7月まで監視体制を継続するとした。

 

 説明会には町内の農家など約60人が参加。参加者から水源地に入り込んだ場合の飲料水への影響を不安視する声があり、担当者は「水源地にはまかない。もし入ったとしても、相当な量でなければ影響はない」と答えた。

 

 国、県、町の担当課、機関では、万一落下している誘殺板を見つけたら素手で触れず、連絡するよう呼び掛けている。