奄美大島5市町村、ノネコ管理計画案まとめる

2018年02月20日

政治・行政

ノネコの一時収容施設への改修が進む旧県立大島工業高校の職員住宅=19日、奄美市名瀬

ノネコの一時収容施設への改修が進む旧県立大島工業高校の職員住宅=19日、奄美市名瀬

 世界自然遺産候補地の奄美大島で、野生化した猫(ノネコ)が国の特別天然記念物アマミノクロウサギなど希少な在来生物を襲って生態系を脅かしている問題で、環境省と県、島内5市町村はノネコの管理計画案をまとめた。計画案では、山中で猫を捕獲し、施設に収容して新しい飼い主を探した上で、引き取り手が見つからない場合は1週間をめどに「安楽死」の処分を行う。各市町村で20日から、島内在住の住民を対象に計画案に対する意見を募集する。3月5日まで。

 

 固有種や絶滅危惧種を含め多様な在来生物が生息する奄美大島で近年、ノネコが山中で繁殖していたり、在来生物を捕殺する被害が確認されていることを受けて、島独自の生態系の保全を目的に関係機関が共同でノネコの管理計画策定を進めている。

 

 計画期間は2018年4月から28年3月までの10カ年。ノネコによる生態系への影響を取り除き、合わせてノネコの元になる野良猫の増加を防ぎ、飼い猫の適正飼養を図る取り組みを進める方針。

 

 奄美大島の森林部の猫の推定生息数は600~1200匹。計画案では、捕獲は環境省が担い、初年度は300~360匹を見込む。捕獲した猫が首輪や各市町村に登録して交付された鑑札を付けていたり、マイクロチップの装着など明らかに飼い猫と分かる場合は、各市町村で写真を掲示して飼い主を探す。

 

 島内5市町村でつくる奄美大島ねこ対策協議会(事務局・奄美市環境対策課)は、捕獲したノネコを一時収容する施設の整備を現在進めている。奄美市名瀬の旧県立大島工業高校敷地内の職員住宅を改修し、約50匹を収容する飼育スペースを設ける。改修費は1486万6千円(県、5市町村が各2分の1負担)。1月下旬に着工し、3月末の完成を予定している。

 

 ノネコの捕獲と収容施設の運用は18年4月の開始を予定。環境省奄美自然保護官事務所の岩本千鶴自然保護官は「奄美独自の生態系を守るために、ノネコの早急な対策が必要」と述べ、計画への理解と飼い猫の適正飼養を呼び掛けた。

 

 計画案は各市町村のホームページ、役場窓口で閲覧できる。住民から寄せられた意見を踏まえて、3月末に管理計画を策定する。