宇検村誌発刊記念でシンポジウム

2018年03月07日

政治・行政

シンポジウムで聴講者からの質問に答える編纂委員=4日、宇検村元気の出る館

シンポジウムで聴講者からの質問に答える編纂委員=4日、宇検村元気の出る館

 村制100周年を記念して宇検村が制作した「宇検村誌―自然・通史編―」の発刊記念シンポジウムが4日、村生涯学習センター「元気の出る館」であった。村内外から約130人が来場。執筆者15人が登壇し、村誌の特徴や、村の持つ魅力、可能性を考察した。

 

 村誌編纂(へんさん)は1997(平成9)年に始動した。自然・通史編は編纂委員7人、執筆委員20人が携わり、2013(平成25)年から5年間かけて制作した。シンポジウムでは自然編、通史編それぞれの執筆者たちが村誌で取り上げた内容や、盛り込めなかった逸話、最新の研究内容などを報告した。

 

 自然編は服部正策さん(東京大学医科学研究所特任研究員)、田畑満大さん(奄美の自然を考える会会長)、四宮明彦さん(前鹿児島大学教授)が登壇し、アマミエビネやリュウキュウアユなど村内に生息する希少生物を紹介し、村の自然の貴重さと魅力を説明した。

 

 通史編は考古、近世、近代、現代の4グループに分かれて執筆者らが講話。西園勝彦さん(県文化振興財団埋蔵文化財調査センター員)は同村の屋鈍遺跡で見つかった9~15世紀ごろカンボジアで作られた陶器を紹介し、「九州、大陸とのつながりを示すもの。奄美、沖縄の歴史だけでなく、日本史を考える上でも重要」と遺跡の価値を強調した。

 

 斎藤憲さん(大阪府立大教授)はかつて村内を二分した「枝手久島石油備蓄基地計画」「無我利道場追放運動」について切り込み、「対決を好む風土が問題を深刻にした」と分析。「島と本土の感覚の違いを知る出身者の意見は貴重」「本土で余ったカネが島に向かうときは要注意」と提言した。

 

 質疑応答では、講話の内容や村誌のお勧めの読み方についての質問があった。シンポジウムに参加した60代女性(同村湯湾在住)は「専門家の目を通して宇検村のことをより深く知ることができた。村の事を詳しく伝える村誌が完成したのはありがたいこと」と感想を述べた。